それは、瞬間を時間ゼロで規定している。
同様な別の瞬間を切り取ってみても、その矢は止まっているという。
だが、それが飛んでいる最中の矢の切り取られた瞬間である限り、当然のように別の瞬間には同じ場所に矢はない。
矢の位置は変わっている。矢の位置は移動しているのである。
そのように、矢が移動している前提で、矢が移動していないとは、いえまい。
論理的には、矢が別の瞬間には移動している前提で、移動していないという主張は、主張自体に矛盾がある。
時間幅をゼロにしてみると止まっているように見えるかも知れないが、その矢には一定の力が働いているので、移動するのである。
そもそも――にして。時間幅がゼロの瞬間は、この世には、存在できないだろうし、少なくとも見ることはできない。
そういえば。空中を直線的にあるいは放物線を描いて移動することを「飛ぶ」という。
だからなのか。的にあたった矢は、飛ばない。
あの世の矢も、飛ばないかも知れない。
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