2020年3月27日金曜日

白銀長方形と黄金長方形

 フィボナッチ数列の数を、その項の前の数で割ると、多少揺れ動きながら、項のナンバーが大きくなるにつれ黄金比に近づいていきます。
 このことは、数学的に正しいと立証されていることです。
 また「多少揺れ動きながら」というのは、黄金比の値の上下を往復しながら、という現象を表現したつもりです。
 この下にサンプルプログラムを用意していますので、〝 Fibonacci 数列 〟の値を変更して、確かめてみてください。

 さて、といったところで。
 黄金比の話題でしばしば一緒に登場するのが、白銀比です。

黄金比の約 1.618 に対して、
白銀比は √2 ≒ 1.414 であると語られています。

しかしながら、黄金長方形と並べて作図する白銀長方形の場合、
白銀比は 1+√2 ≒ 2.414 の比率になります。

これは 黄金比・白銀比・青銅比と、続いて定式化されている
いわゆる《貴金属比》の比率が用いられているためです。

 こうなってくると、白銀比に 1 を足すと同じ名前の白銀比になってしまって、とても不都合なわけです。
 √2 の白銀比は〈大和比〉の名称でも呼ばれているようですので、そっちの呼び名のほうが混乱が少なくていいかもしれませんね。

 A 判と B 判のコピー用紙の縦横は、この〈大和比〉の比率になっています。
(ちなみにこの規格の長方形は、諸外国では √2 長方形と呼ばれているようです。)

⛞ フィボナッチ数列の計算
Fibonacci 数列 n n + 1
n = 
⛞ フィボナッチ数列の分数計算
    = 
 
⛞ 黄金比の方程式の解の数値
❖  φ =     1 + √ 5      = 
 
2
方程式の解
● 黄金比の方程式[ x2x - 1 = 0 ]を、
   2 次方程式[ ax2bxc = 0 ]の解、
  x =     - b ± √ b2 - 4ac    
 
2a
 にあてはめて解くと、
  x =     1 ± √ 12 + 4       =     1 ± √ 5   
   
2 2
 なので、そのプラスの値を解とする。
  x =     1 + √ 5   
 
2
⛞ 白銀比・青銅比の計算
❖ 白銀比  =     2 + √ 8      = 
 
2
❖ 青銅比 =     3 + √ 13      = 
 
2
方程式の解
● 白銀比の方程式[ x2 - 2x - 1 = 0 ]の解。
  x =     2 ± √ 22 + 4       =     2 ± √ 8      =  1 ± √ 2  
   
2 2
● 青銅比の方程式[ x2 - 3x - 1 = 0 ]の解。
  x =     3 ± √ 32 + 4       =     3 ± √ 13   
   
2 2

 白銀長方形と黄金長方形
 ◈  白銀長方形は正方形の 1 辺に対し、正方形の対角線の長さを加えて、長方形の 1 辺を構成する。
 ◈  黄金長方形の特徴の 1 つとして、下の図のような組み合わせで描くときには、横長の長方形の対角線延長上に、縦長の長方形の頂点の 1 つが位置する。
φ  =     1 + √ 5      = 
 
2
 ▣  ∠ABC = ∠BCD
 ▣  1  :  ( φ - 1 )  = ( φ + 1 )  :  φ
1   =     ( φ + 1 )  
   
  ( φ - 1 )   φ
   φ  = ( φ + 1 ) ( φ - 1 )
 ∴  φ  =  φ2 - 1

 【 φ = φ2 - 1 】の 検算のための演算例
φ2   =      ( 1 + √ 5  )2     =      1 + 2 √ 5  + 5  
   
22 4
    =      3 + √ 5        =   1 +     1 + √ 5   
   
2 2

2020年3月23日月曜日

フィボナッチ数列とヒマワリの種の螺旋

  ●   数列というのは、ようするに数を並べたものです。
 ◯  普通は、何らかの規則にしたがって並べられた数列を扱いますけれども、規則的でない数列もあります。
 ✥ フィボナッチ数列の計算
 数列は基本的に { an } という記号で表されて、このとき an を数列の一般項といいます。
● 数列の項を、
先頭から順に初項(第 1 項)、第 2 項、第 3 項、…… といい、
先頭から n 番目の項が n となります。
 自然数の集合は数列として、
1, 2, 3, 4, 5, 6, ……
と、書けるので an = n となります。
◎ 偶数は自然数を n として n × 2 なので、
偶数の数列の一般項は an = 2n となり、
すると奇数では、数列の一般項は an = 2n - 1 と、なるわけですね。
 自然数や偶数とか奇数といった、項の個数が無限にある数列を《無限数列》といい、項の個数が有限な数列を《有限数列》といいます。
 有限数列では特に、項の数が値として決まるので《項数》が定まって、また《末項》といわれる最後の項が存在することになります。
● 有名な数列に〈フィボナッチ数列〉があります。
a1 = 1
a2 = 1
an = an - 2an - 1 ( n = 3, 4, 5, ……)
⛞ フィボナッチ数列の定義
F1  =  F2  =  1, Fn+1  =  FnFn-1 (n ≧ 2)
⛞ ビネの公式
Fn =   1 { (   1 + √ 5   ) n  -  (   1 - √ 5   ) }
         
 √ 5  2 2
ひとまずこの〈フィボナッチ数列〉の第 10 項までと、
続けて第 11 項から第 20 項までを、順に書いてみましょう。
1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55
89, 144, 233, 377, 610, 987, 1597, 2584, 4181, 6765
ついでに、第 53 項までを JavaScript で表示可能にしておきます。
     n = 
n
n + 1
n + 2
n + 3

 ◈ この数列は自然界でも、ヒマワリの種の並び方などに現れていて、『ひまわりの黄金比』という本にそのことが詳しく紹介されています。

『ひまわりの黄金比』
形の科学への入門
根岸利一郎[ねぎし・りいちろう]/著
2016年04月20日 日本評論社/発行
1.3 連なりらせん
 (p.8)
 ヒマワリの花は、種がらせん状に連なっている。これを「連なりらせん」という。
2.1 ヒマワリらせんを真似る
 (pp.14-15)
 種の位置を円座標で表示するために、動径 r と偏角 θ[シータ]を決める。ヒマワリの花が円盤状に成長し、茎からの養分流入量 n が一定の厚さ d の円盤状に成長して半径 r になったとすれば、その花の体積 dπr2 は流入量 n に等しい。だから、もし厚さが成長に伴って変化しないなら、半径 r n1/2 に比例する。ヒマワリの種を点として描く場合、その最初の位置は、この比例定数を 1 とすれば中心からの距離が r1 = 11/2 、円の中心から見た種と種の間の中心角である開度を φ[ファイ]とすれば偏角 θ φ の位置に決まる。だから、その位置は (11/2 , φ ) になる。2 番目の点は (21/2 , 2φ ) 、その次は (31/2 , 3φ ) 、…、そして n 番目は (n1/2 , nφ ) となる。実際のヒマワリの種が n 個付くなら、最初に生まれるのがこの n 番目であり、最後が 1 番目であって上で見た順番とは逆になる。逆でも位置の描画結果は変わらないので簡単のためにこの表記にしてある。φ としては円周 360° を黄金比 τ[タウ]に分割する角度として 360° × (1 - 1/τ ) = 137.50 ° が多く使われる。この角度は黄金角(フィボナッチ角とも言う)と呼ばれる。ここでもこの角度から始めてみよう。たとえば、n200, 1000, 2000, 5000 としてそれぞれを描くと図 2.4〔図は省略〕のようにほぼ一様に充填 1) される。ヒマワリでは種のできる花の原基が頭状花中央の微小半径 r0 周辺に順に出来て成長するが、ここでは簡単のためにこの r0 を無視している。Excel を使って描けるので、補足 A や文献 [19] を参照してほしい。
 描画した各点はらせん状に連なっているので、数えやすい連なりの本数を周辺部に沿って数える。n = 200 のときは 21 本と 34 本が目立つ、これを 21 ∕ 34 と書こう。n 1000 では 34 本と 55 本が目立つが、よく見ると 21 本も見える。だから 21 ∕ 34 ∕ 55 となり、この連なりらせんの本数 21 ∕ 34 はこの章の冒頭で数えた枝に咲く小さなヒマワリのらせん数に一致する。

1) 「充填」は平面での並びに隙間を許す並び方。ちなみに「敷き詰め」は隙間がなく、「被覆」は重なりを許す [20]
[19] Negishi, R. and Sekiguchi, K., Pixel-Filling by using Fibonacci Spiral, FORMA, 22, pp.207‑215 (2007)
[20] 形の科学会編集『形の科学百科事典』、朝倉書店 (2013)

 ✥ ヒマワリの種のらせん
 『ひまわりの黄金比』「補足 A の解説に基づく作図
 【省略した図のうち n = 200 のらせん図】
  数をカウントするらせんの向き
   : 外側から中心へ向かって  右旋回
  描画されたポイント(点)のデータの順番を


2020年3月19日木曜日

n 次関数のグラフの接線の方程式

  k · x3 の微分
 ◎ y = kx3 の微分は、定数倍の関数を微分する方法を利用します。
▣ y = kx3 = k f (x)
▣ y´ = { k f (x)´ } = k f ´(x) = 3kx2
  ax2bxc の微分
 ◎ 足し算や引き算のある関数の微分は、それぞれの関数を微分する方法を利用します。
▣ y = f (x) + g (x)
▣ y´ = { f (x) + g (x) }´ = f ´(x) + g ´(x)

▣ y = f (x) - g (x)
▣ y´ = { f (x) - g (x) }´ = f ´(x) - g ´(x)

▣ y = bx
▣ y´ = b

▣ y = c
▣ y´ = 0

 というわけで、方程式に足し算や引き算が含まれる場合には、それぞれの項を微分してから足し算や引き算をすればよい、という微分のルールが適用されるのです。
 ▣  なので、たとえば、それぞれの関数が、
  ◍  f (x) = ax2
  ◍  g (x) = bx
  ◍  c (x) = c
であるとき、
▣ y = ax2bxc
の微分は、
● y´ = f ´(x) + g ´(x) + c ´(x)
◍  f ´(x) = 2ax
◍  g ´(x) = b
◍  c ´(x) = 0
として、次の計算をすればよいわけです。
● y´ = 2axb
◈ 同様に、3 次方程式
▣ y = ax3bx2cxd
の場合には、
● y´ = 3ax2 + 2bxc
という具合になります。

 f (x)  =   × x4 × x3 × x2 × x
  ● x =     ● y = f (x) = 

⛞ 接線 [ τ ] の座標点を P ( px px ) とする ⛞
 ◈  px = 
 ◈  py = 
⛞ 接線の方程式 /  切片 : [ c = bm a ] ⛞
 ◈  py = m (pxa) + b
a = x = 
● b = y = 
● m = y´ = f ´(x) = 
●  c = 

  n 次関数のグラフの接線の方程式(まとめ)
✤ 3 次関数 [ y = ax3bx2cxd ] の 導関数
●  y´ = f ´(a) = 3ax2 + 2bxc
✤ 4 次関数 [ y = kx4ax3bx2cxd ] の 導関数
●  y´ = f ´(a) = 4kx3 + 3ax2 + 2bxc
⛞ n 次関数[ y = f (a) ]の 接線の傾き m の 関数
▣  m = y´ = f ´(a)
⛞ n 次関数が描く曲線の接線の方程式[ y  =  m xc ]の演算
〔※ 曲線と接線が共有する x ,  y 座標を それぞれ a ,  b とする〕
✥  y = m xc
▣  a  =  a
▣  b  =  f (a)
▣  m =  f ´(a)
▣  c  =  bma  =  f (a) - f ´(a) a
∴  y = f ´(a) xf (a) - f ´(a) a

✥  y = m (xa) + b
✥  y = f ´(a) (xa) + f (a)
●  y = f ´(a) xf ´(a) af (a)

―― 例により前回分を含む、コピペしてそのまま使える、JavaScript の見本をテキスト化して掲載したページを、以下のサイトで公開しています。

JavaScript: n 次曲線の接線
http://theendoftakechan.web.fc2.com/eII/hitsuge/arcus/tangent.html

2020年3月17日火曜日

頂点が原点にない放物線の接線

 前回「JavaScript: 2 次曲線の接線の方程式」で、基本的な放物線の接線を描きました。
 今回は、放物線の頂点が、x 軸と y 軸の方向になにがしか移動(平行移動)していても、同様に接線を描線するという、発展形に挑戦してみたのです。

  放物線の平行移動
 ◎  参考書には、一般に関数[ y = f (x) ]のグラフを x 方向にプラス p y 方向にプラス q だけ平行移動したグラフの式は、
yq = f (xp)  ⇒  y = f (xp) + q
となることが書かれています。
 ●  関数の演算式に傾き m の記号を用いて、さらに x, y 軸の平行移動を a, b と置き換えたら、
● y = f (x) = mx
● yb = m (xa)
  ⇒  y = m (xa) + b
の形になるわけです。
◈  2 次関数[ y = f (x) = m x2 ]のグラフの平行移動だと
● yb = m (xa)2
  ⇒  y = m (xa)2b
という具合になります。
  y 切片 [y-intercept]
 切片というのは、直線や曲線が座標軸と交わるとき、x 軸あるいは y 軸との交点を表します。また、その交点の座標の値の意味にも使われるのでした。
直線の方程式を表す際の y 切片の記号には、今後は c を用いて
y = m xc
と記述することといたしましょう。
 この方程式なら、座標 (a, b) を通る傾き m の直線の、切片 c の計算式も混乱せずに書けるのですね。
◎ 座標 (a, b) を通る傾き m の直線の方程式は、次のような計算式となります。
y = m (xa) + b = m xm ab
●  y 軸との交点の座標を (0, c) として、
y = m xc
の方程式の形で、切片を記述するためには、
c = - m ab = bm a
という、簡潔な計算式を覚えておくだけでよいわけです。

◈ なにはともあれ、
y = f (x) = a x2
 のグラフを平行移動させた、次の方程式が描く放物線に、接線を引いてみましょう。
y = f (xp) + q = a (xp)2q

  ●  a  =     ●  p  =     ●  q  = 
◈  接線との共有点座標 :   x =      , y = 

 座標 (x, y) を通る傾き m の直線
 ▣ 接線の 傾き : m = 
 ▣ 接線の 切片 :  c = 

2020年3月14日土曜日

JavaScript: 2 次曲線の接線の方程式

 曲線を描く関数を微分することで、接線の方程式を求めることができます。
 (接線は直線なので、その方程式は、1 次関数となります。)

◎ 方程式に導関数が含まれていれば微分方程式になるのですね。

● 微分して得られる微分係数は関数として考えられるので、導関数と称されるのです。
 導関数[ ◈  ディーワイ、ディーエックス  ◈ ]
▣     dy  
 
  dx  
◈ この下の見本の放物線[ 2 次関数: y = x2 ]の、任意の地点 P の接線の方程式は、放物線の方程式を微分することで求めることができます。
◈ この接線の傾き 1 次関数: y = 2x ]が、微分方程式 y = x2 ]の導関数になります。
▸ 2 次関数を微分して求めた接線の傾きは、2 次関数の導関数になるわけです。

 微分の計算の復習
● 考え方としては、まず任意の 2 つの地点間の傾き(平均変化率)を求めました。
 2 地点の座標と傾き m
  ● P ( p , p2 )
  ● Q ( q , q2 )
▣ m =      q2p2  
 
qp
とすれば、差分 Δx = h における傾き m は、 q の値を、( ph) と置き換えて、
 [ q2 = ( ph)2 = p2 + 2phh2 ]
と、計算されるので、
▣ m =     ( p2 + 2phh2 ) - p2     =     2phh2  
   
( ph) - p h
したがって、
▣ m =     2phh2     =     h × (2ph )     =  2ph  
   
h h
となり、ここで p x として、m x の関数 y と書けば、次の式が導かれます。
  ▣ y = f (x) = 2xh
◯  さらにここで、h が限りなく 0 に近づくとすると、数学上の書式として、
  ▸ y = 2x
であるかのように表現されることになります。
◎ この関数(瞬間変化率)は、もとの関数[ 2 次関数: y = x2 ]の導関数で、微分係数なのでした。

 ✥ 微分係数の演算式と計算結果
    ● y = f (x) = x2 の 場合
 ▣ y´ = f ´(x) =     dy  
 
  dx  
 ▣ f ´(x) =   lim
 Δx → 0 
  f (xΔx ) - f (x)     =  2x
 
Δx

 ✥ 1 次関数の方程式と切片の計算
▣ y = axb
▣ b = y ax
  ※ 切片 b の計算に必要なのは、
    傾きと、1 点の ( x , y ) 座標です。

● P ( x , y ) 座標の微分計算
◈ もとの 2 次関数
▣ y = f (x) = x2
◈ 導関数(接線の傾き)
▣ y´ = f ´(x) = 2x
◈ 2 次関数の曲線の接線の傾きと切片の計算
〔 ※ 微分方程式と座標点 P ( x , y ) における接線の傾きと切片 〕
▣ f (x) = y = x2
▣ f ´(x) = 2x
▣ b ( = y ax )
    = y - 2x × x = x2 - 2x2
    = - x2 = - f (x)
◈ 点 P ( x , y ) を通る接線の方程式
〔 ※ 接線の各座標を点 P´ ( px , py ) とする〕
◈ py = f ´(x) × px f (x)

◆ 2 次関数の曲線に対する接線の方程式の基本形 ◆

 放物線の x 座標:  , y 座標:
     f ´(x)   = 2x = 
 接線の切片 b と接線の x 座標に対する y 座標
     ▣ b = - x2 = - f (x)   =  
◆ 接線の方程式
  ◈   y   = ×    + b   =  

―― 例により、コピペしてそのまま使える、JavaScript の見本をテキスト化して掲載した最新版のページを、以下のサイトで公開しています。

JavaScript: 円の接線と面積
http://theendoftakechan.web.fc2.com/eII/hitsuge/arcus/limit.html

2020年3月12日木曜日

円の接線の方程式

 数学上認められている、無限に循環を繰り返す《循環小数》の計算があります。

「循環小数の作り方」by takechan


 1 ÷ 1 = 1
 1 ÷ 2 = 0.5
 1 ÷ 3 = 0.333333333333333 ……
 1 ÷ 4 = 0.25
 1 ÷ 5 = 0.2
 1 ÷ 6 = 0.166666666666666 ……
 1 ÷ 7 = 0.142857142857142 ……
 1 ÷ 8 = 0.125
 1 ÷ 9 = 0.111111111111111 ……

◎ 〈1 ÷ 3〉〈1 ÷ 6〉〈1 ÷ 7〉〈1 ÷ 9〉が、循環小数となっています。
 無限に繰り返される数の上に〈・〉をつけて記述される場合もあります。繰り返しの数が複数にわたる場合には、最初と最後の数字の上にだけ〈・〉をつけます。

 上につけられる〈・〉が見つからなかったので、今回は〈̊〉で代用して記述してみることにします。

「循環小数の書き方の模索」by takechan


  0.3̊ = 0.333333333333333 ……
  0.16̊ = 0.166666666666666 ……
  0.1̊42857̊ = 0.142857142857142 ……
  0.1̊ = 0.111111111111111 ……

 さてここで、数学マジックに惑わされないように気をつけつつ、〈1 ÷ 3〉に注目してみましょう。
 これを分数の形で 3 倍すると、もちろん 1 になります。が、小数の形で 3 倍すると、

 [(3 分の 1)× 3 = 1 ]
  0.3̊ × 3 = 0.9̊ = 0.999999999999 ……

となることは、明白なのです、困ったことに。

◎ そういうわけで、

  0.9̊ = 1

であることが数学的に証明されてしまうのだ。説明しよう。

「循環小数に関する証明の一例」


 計算を簡単にするために、まず
  0.9̊ = a
 と記号化して、それを 10 倍してから、1 倍を引く。
  a × 10 = 10a
  10a - a = 9a
 これを、実際の数字でやってみる。
  0.9̊ × 10 = 9.9̊
  9.9̊ - 0.9̊ = 9
 したがって、[ 9a = 9 ]となるので、
   a = 1
 ∴ 0.9̊ = 1

 無限大〈 ∞ 〉の怪物に立ち向かうためには、この魔法を納得する必要があるのでしょうか?
 このまま、騙されたと思いつつも、極限の世界へ突入することになります。


微分からの円の接線の方程式


◈ 極限 (limit) の世界


 極限というのは、いわば〈 ∞ 〉の一歩手前、〈 0 〉の一歩手前、を考える作業です。
 今回は、微分の入門編を目的としていますので、〈 0 〉の一歩手前を考えることにします。



 限りなく 0 に近づく値という場合、たいていは、プラスの数がイメージされているようです。
 この極限について、座標の原点を中心とする円 O の、2 点間を結ぶ直線で考えてみます。
▣ 円周上の 2 点をそれぞれ、点 P (px, py) 、点 Q (qx, qy) とします。
円と交差する直線の傾きを計算することになります。
 ふたつの点は、円周上の任意の場所にありますが、ふたつとも同じ位置の際には、2 点間の距離が限りなく 0 に近づいた状態であると、仮にみなしておきます。
 そういう極限状態の際に、直線 PQ は円 O の接線になるのでした。

  ▣  P 座標の角度 °    ▣  Q 座標の角度 °
P ( px py )
P 座標 ( )
Q ( qx qy )
Q 座標 ( )
 ▶ 2 点間の平均変化率(直線の傾き)
      (qy - py)  ∕  (qx - px) = 
◯ 円の接線三角関数の微分
●  PQ の座標の角度 = θ(度) として
  [ sin x の微分は、(sin x と記述される ]
● (sin θ )´ = cos θ
● (cos θ )´ = - sin θ
P, Q の座標の値を (x, y) とするとき
▣ 接線の切片: y - ( - x ÷ y × x )
▣   = yx2 ÷ y
 ◎ 円の方程式
⛞  x2 + y2 = r2
 ◎ 円の接線の方程式
 ▶  x2 + y2 = r2 より、
半径 r の円周上の座標を ( r*cosθ r*sinθ ) とし、さらに
px = cosR = r*cosθ
py = sinR = r*sinθ
と記号化して、円周上の x 座標、y 座標を記述するとき、
接線の x , y 座標の方程式は、
▣  y = f (x) = -    px    xpy +     px2 
  py   py
     = -    px    ( xpx) + py
  py  
▣  f (x) = -    cosR    x + sinR +     cosR2 
  sinR   sinR
     = -    cosR    ( x - cosR) + sinR
  sinR  
● ここで記号化した px , py , cosR, sinR は、それぞれ文字ごとには分割できない記号として用いています。
● また通常、混乱を避けるために px , py は、px , py のように、添え字で記述されるようです。

さて、極限の値を考えるには、まずグラフ座標の 2 点間の傾きを求めます。
 これが、2 つの値の間の平均変化率になります。
 最初に登場する記号は h で、これは 0 よりも大きい、とても小さな数を示しています。
 この h x の値の差 (difference) を表しているため、Δx とも書かれます。Δ (delta) はギリシャ文字で、このとき Δx は分割できない 1 つの記号として表現されており「デルタエックス」と読みます。
◈ 平均変化率は、
  Δy  
  Δx  
で表現され、さらに、[ y = f (x) ]を微分した関数は[ y´ = f ´(x) ]と書かれ、
  dy  
  dx  
という具合に、用いられる記号も、変わります。

◈ 微分で求められる関数は「微分係数」といって、見た目も分数で、分数のように扱われることもあるようなのですけれど、実は分数ではないそうです。基本的にひとかたまりの記号として扱われて「ディーワイ・ディーエックス」、「ディーワイ・バイ・ディーエックス」もしくは「ディーエックス分のディーワイ」と読むことになっているようです。

2020年3月10日火曜日

〈円の面積〉は《円周の積分》であるということ

重力加速度のグラフ


 高校の数学で学ぶ、微分・積分では、なにやら積分のほうが難しく感じられるのですけれど、
▣ 移動距離 = 速度 × 時間
というのは、それらの速度を y 軸に、時間を x 軸にして、速度変化を示す時間の 1 次関数のグラフを書いて、面積を計算すればよかったのでした。
 距離(長さ)という 1 次元が、面積という 2 次元で、表現されているわけです。
このように、等速直線運動等速度運動)で離れていく距離だけでなく、等加速度運動によって離れていく距離も計算できるその手法は、
▣ 距離は速度の時間積分である
と、表現されるのです。
▣ y = f (x) =[時間] (s) × [速度] (m/s) ÷ 2  =  [距離] (m)
▣ y = f (x) =   (s) × (m/s) ÷ 2  =  (m)
◈ 上の操作可能な図は、初速を 0 (m/s) とした、
重力加速度による速度変化のグラフです。
一応、地上付近では一定の加速度であるとみなされていて、
(空気抵抗さえなければ、)
一定の割合で加速し続けていくことになっています。
◎ 重力加速度 = 9.8 メートル毎秒毎秒 ( g = 9.8 m  ∕ s2 )
◈ このグラフで、時間 (x) を底辺にとれば、
速度 (y) を高さにした、直角三角形の面積を計算することで、
移動距離 (l) の推移がわかります。
◈ このように使い回す方程式などの計算式を
関数函数 (function) といって、yx の関数である場合、
y = f (x)
と、書かれます。
●  最初の[ y = f (x) ]は、[速度=加速度×時間]です。
●  ここでは、次の[ y = f (x) ]であるところの[ l = f (y) ]が積分の計算と同じ、という次第です。
( ※ 幸いなことに[ y = f (x) ]は 1 次関数なので、直線のグラフで表されました。)
●  そういった事情で[ l = f (y) ]は[面積=底辺×高さ÷2]という、三角形の面積の公式で代用できるのです。
●  高校の物理では、距離を l 、加速度を a 、時間を x として、
l =    1   ax2  
 2 
という公式で学ぶことになっているようです。
ここで距離 l y 軸にしたら、曲線のグラフになり、
さらに、その曲線のグラフを微分すると、
接線の傾きとして速度(瞬間速度)が算出されます。
 単位を含んだ掛け算とか割り算の話は、以前にブログで書いていたので、これも使い回しておきましょう。

「指数の引き算は割り算として考える」

(2017年3月16日木曜日)

単位の話 またたび
思い起こすと、速度の単位は〝メートル毎秒〟などであらわされますが、
加速度になるとこれが〝メートル毎秒毎秒〟などと、わけのわからぬものになります。

これは、たとえば、〝 5 メートル毎秒毎秒〟の加速度という場合、
「 1 秒につき〝 5 メートル毎秒〟の速度が追加もしくは削減される」
ことを表現しています。
(ブレーキも、計算上は、加速度なのです。マイナスをつけて考えます。)

〝 5 メートル毎秒〟というのは、1 秒ごとに 5 メートル移動する能力ですから、
〝毎秒その能力が変化していく〟という状態なわけです。
だから、〝 5 メートル毎秒毎秒〟ということになるのですが……。
それがすなわち、加速している、という状態の表現になるわけですな。
――さっぱり、前に進めない、解説なのですけれども。

円周と面積のグラフ

 さて、《円の面積》は、は円周の積分になります。
半径 =      
●  これを[ y = f (x) ]で表せば、
▣ 円の面積 = f (円周)
となるわけですが、円の公式は、
◈ 円周:2πr
◈ 面積:πr2
であるので、上の物理公式
l =    1   ax2  
 2 
にならって、面積を l の記号で表すと、
l = πr2 =    1   (2π) r2  
 2 
となって、r が時間と同じ役割を果たし、
2π が加速度の位置におさまっています。
これをグラフにしたのが、2 番目の操作可能な図です。
ところで、距離に関しては、
▣ 距離は速度の時間積分である
と表現されていて、速度は[加速度×時間]でしたから、
〔※ 蛇足ながらも円周率は円周と直径の長さの比率です〕
(そして円周は[円周率×半径の 2 倍]なので)
▣ 円の面積は円周の半径積分で計算できる
と、いうことができそうですな。でもって逆に、
〈面積を微分すると、円周を求めることができる〉のです。

「グラフを 切り替える」ボタンで、試してみてください。