2017年6月28日水曜日

「やられたらやり返す」戦略の邂逅

 まずは下手(したて)に出て様子を見る。
 そうプログラムされている。
 それが協力的な態度を引き出すコツなのだ。
 見栄は禁物だ。自滅への道しるべなのだから。
 ―― だがしかし。
 相手がいじめっ子だったら、毅然(きぜん)として抵抗する。
 やられっぱなしじゃダメだ、即座に反撃せねばならない。
 相手のやり口をそっくりまねればいい。
 やりやすいヤツだと思われたら、カモにされるだけだ。
 徹底抗戦もいとわない。その覚悟も必要だ。

 自分と同じやり口のヤツなら危険はない。
 最初に下手に出た、こっちの態度をそっくり返してくれるに決まっている。
 そう。全部、決まっているのだ。
 変更はない。単純なプログラムだからだ。
 融通もきかない。だから、一度でも間違えれば、そのまま突っ走ることになる。
 もう少し、改良の余地がある。
 さいわい、クローンには、ときにコピー・エラーがある。
 間違いにだって、利用価値はあるのだ。だから ――。
 改良型に、そのうち出会えるかもしれない。
 そうすれば、この役目も終えることができるかもしれない。
 戦略的クローンの未来も、そう悪くはないかも、しれない。


Robert Axelrod ; Cooperation 協調性の進化
http://theendoftakechan.web.fc2.com/ess/games/Axelrod.html

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