2017年6月20日火曜日

細胞内共生:協力の進化

 単細胞生物にも、細胞内で役割の分担が観察できる。
 それは多細胞生物のような生命個体内部での機能の役割分担だ。
 前回にも出てきたゾウリムシなど、細胞内の器官である細胞小器官(オルガネラ)に各種あって、あたかも多細胞生物のごとき様相を見せる。そういうわけで単細胞なりに生きるための機能はそこそこ充実している。
 なかでも有名なオルガネラに、ミトコンドリアがある。ミトコンドリアがなければ、酸素をエネルギー源に使えない。
 そのミトコンドリアはもともと独立した細菌だったという。
 それが、原核細胞が真核細胞になるきっかけでもあったろう、たまたま細胞同士が合体して、新しい細胞となったのである。
 合体前のもともとの細胞の得意技を発揮することで、お互いの不利をおぎないあい、強力なタッグが生まれた。
 そのうちいつのまにか、完全に融合した依存関係になった。ミトコンドリアは、自立するために必要ないくつかの遺伝子をおのれの染色体から失った。
 こういうのを、細胞内共生体という。今回のタイトル細胞内共生がはじまる。
 そもそも、DNA が合体してできている染色体からして、遺伝情報の染色体内共生であろう。
 生命は、共生関係を発達させることで、進化していったと思われる。
 なれば、多細胞生物同士の共生関係も、その延長上に容易に想定可能なのだ。
 お互い協力しあうことで、強力な生き物となることができる、と遺伝子レベルで、知られているはずだ。

 なぜに、生命に共同行為が発生するのか。理由はひとつでも充分だ。
 そのことは、遺伝子に刻まれているはずなのである。
 細胞レベルで、考えてみたら、そういうことになった。
 ただし各種遺伝子が発現するためのスイッチがいつどのように入るか、それも個性という多様性のひとつなのだし。

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