2016年10月6日木曜日

捏造(ねつぞう)されかねない〈矛盾〉

 事実としての現実が 〈矛盾〉 するのは困難であるが、概念は容易に 〈矛盾〉 する
――という、現実がある。
 いまここに、〝文字〟という「記号」が何であるかを考えてみる。
 とりあえず、アルファベットの大文字を例にとって考えることにする。

 もし、〝文字〟が〝 A 〟であるならば、〝文字〟は〝 B 〟ではない。
 すなわち〝文字〟が〝 A 〟であると同時に〝 B 〟であることはできない。
 〝文字〟が〝 A 〟であると同時に〝 B 〟であるというのは、矛盾している。
 しかしながら実際には、現実として、〝 A 〟は〝文字〟であり、同時に〝 B 〟も〝文字〟である。

 おそらく。いまこの〝文字〟は、数学的には、未知数〝 x 〟であると、仮定されている。
 そこで、その〝文字〟を記号としての未知数〝 x 〟で表現する。

 未知数〝 x 〟が〝 A 〟であると同時に〝 B 〟であることはできない。
 しかしながら、実際には現実として、〝 A 〟は〝文字〟であり、同時に〝 B 〟も〝文字〟であった。
 ようするに、事実としては、未知数〝 x 〟は〝 A 〟であると同時に〝 B 〟でもあるので、したがって、現実に適用して考えるならば――。
 最初の記号としての、未知数〝 x 〟は〝文字〟ではなく、その〝(限定された)文字〟――〝その文字〟――と、するべきであったろう。

 〝その 〔ひとつの〕 文字〟が〝 A 〟であると同時に〝 B 〟であることはできない。
 しかしながら、〝 A 〟は〝文字〟であり、同時に〝 B 〟も〝文字〟である。
 この場合、未知数〝 x 〟は〝 A 〟であると同時に〝 B 〟ともなる。
 現実に、〝文字〟は〝 A 〟であると同時に〝 B 〟でもあり〝 C 〟などでもある。
 つまりは、未知数〝 x 〟の設定の曖昧さ に、問題の所在があったのであろう。
 〝文字〟なのか、その〝(限定された)文字〟すなわち〝その文字〟なのか。

 〝 A 〟は〝 A~Z 〟という集まりの要素ではあるが、全体ではない。
 また〝 A 〟がなければ〝 A~Z 〟という集まりは成立しない。
 現実には、このことに、矛盾している形跡はどこにも、一向に見受けられない。

 結局はただ、最初の設定で、厳密さを考慮するか、それとも考慮しないか、だけの話であったのか。
 曖昧な概念は、容易に〈矛盾〉と馴れ親しむのだろう。

 蛇足ではあろうが――ここで少し丁寧には――ありましょうが、以上の解釈及び説明と〝 A 〟がそのまま〝 B 〟である世界観とは異なる、ものです。

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