2016年10月21日金曜日

西田哲学的〝時空統一体〟

 単純な見解として、
〝高さの欠落した空間〟は三次元空間として意味をなさない。それを一般に〝平面〟という。
 同様に、
〝時間の欠如した空間〟は四次元時空として意味をなさない。それは通常〝平面的〟に捉えられる。
 相対性理論も、
〝ミンコフスキーが取り入れたローレンツ変換により時空が統一された〟
時間と空間の相互補足性の理論として、哲学的に捉えられたかも知れない。
そこには、〝量子力学の相補性の概念〟も垣間見られる。

 殊にローレンツ Lorentz やミンコウスキー Minkowski などによつて唱へらるゝ物理学上の相対性原理に於てはこの傾向が益々徹底して時間と空間とさへも相対化せられるやうになつた。
新版『西田幾多郎全集』第十二巻「現代に於ける理想主義の哲学(第七講)」 (p.73)

上記引用文は、大正五年 (1916) の講演記録であるが、
次の著作は、昭和十五年 (1940) のものだ。

 物質的世界と云ふのも、右に云つた如く、既に空間時間の矛盾的自己同一の世界、多と一との矛盾的自己同一の世界でなければならない。時間空間の相互補足性と云ふのも、かゝる世界の矛盾的自己同一を意味するものであらう。
新版『西田幾多郎全集』第九巻「日本文化の問題」 (p.16)

 このように語られる時間と空間の理論は、〝絶対現在〟と表現される〈永遠の今〉においてすべての時空が内包される。

 西田哲学の〝絶対時空〟は、〝時空連続体〟というより、
〈永遠の今〉の表現である〝時空統一体〟とでもいうべきであろうか。


イデア:時空統一体
http://theendoftakechan.web.fc2.com/atDawn/transcend/unity.html

0 件のコメント:

コメントを投稿