〝むくいは受けねばならぬ〟とはいいつつも、
感謝のお礼参りもたまには忘れたって、それで普通と思われようし。
報復も「必ずやる」というのでは、敬遠されて、
世間を狭くしかねない、と内心のところで思われましょうか。
コンピュータ・シミュレーションによる〝進化ゲーム〟の実験結果を参照するなら。
「善行には 9 割報いて、悪行も 3 分の 1 は大目に見るべき」ことが示唆される。
―― そういう集団は安定的だという。
どうやら、感謝の気持ちも 9 割程度で示すのがほどほど、ということらしい。
いっぽうで怒りの気持ちは、3 分の 2 あたりに抑制するのが、明るい未来を導くようだ。
あくまでもコンピュータ・シミュレーションによる〝進化ゲーム〟での、参考数値なのだが。
―― そういう集団は安定したのちに。
やがては「やられても決してやり返さない」集団に移行するという。
そういうわけなので、次には「やられる前に必ずやる」集団がのし上がってくる。
このときに、「やられたら必ずやり返す」という性質の集団が復活する。
もとに戻っちまった。
この、揺れ動く周期を打開する、世渡り上手が、
「勝ったらそのまま、負けたら変更」戦略を採用した集団であるという。
“Win-Stay, Lose-Shift (WSLS)” と、英語で表記される。
Pavlov(パブロフ)とも呼ばれるこの戦略に手を染めたらば、「やられても決してやり返さない」相手など、とっとと食いものにしてしまうらしいのだ。
それだからこそ、成功できるのだと、いえようか。
「やられたら必ずやり返す」戦略など、これに比べれば、児戯に等しく、自棄的とも見えてくる。
合理的な経済人には、この
「勝ち残り・負け逃げ」の冷静かつ冷徹な判断が求められるのかも知れない、などと思いつつ。
Martin A. Nowak & Karl Sigmund ; GTFT 寛容なしっぺ返し
http://theendoftakechan.web.fc2.com/ess/games/generousTFT.html
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