2020年5月31日日曜日

楕円接線と《光の入射角・反射角》

 いよいよもって、楕円の焦点から発射された光が楕円で反射したら、どこに向けて跳ね返るのか、という話題となりました。
 当面の目標としていた、楕円の接線の入射角と反射角に関する計算問題の作図です。

◎ 一般に、関数 y = f (x) が微分可能なとき、
 曲線 y = f (x) 上の点 A ( a ,  f (a) ) における接線の方程式は
yf (a) = f ´(a) (xa)
と、記述されます。このとき f ´(a) ≠ 0 であるなら、点 A を通る接線に垂直な直線の方程式は
yf (a) =  -  1  (xa)
 
 f ´(a) 
と表され、これを曲線 y = f (x) の点 A ( a ,  f (a) ) における法線 (normal) といいます。

 ⛞ 楕円の接線と法線に関する定理
 x 2   +   y 2    = 1
   
 a 2   b 2 
 上の方程式で表される楕円上の点 P ( x1, y1 ) (y1 ≠ 0) における接線を l 、点 P を通り l に垂直な直線を m とし、この楕円の焦点を F, F´ とする。
 このとき、m∠FPF´ を二等分する。

▣ 直線 m は、楕円上の点 P ( x1, y1 ) (y1 ≠ 0) における法線と一致します。
▣ したがってこの定理は、焦点を F, F´ とする楕円の点 P における法線は、∠FPF´ を二等分する、ということを意味しています。

◎ かくして焦点 F から楕円上の点 P に向けて放たれた光は、
もうひとつの焦点に向けて反射する」と理解できます。

証明 : ここでは a > b > 0 となる標準的な楕円の場合について考えます 】
(双曲線の接線で復習した〈内角の二等分線と辺の比の定理〉を今回の証明にも用います)
◈ 前提として、x 軸と法線との交点を Q とすれば、
FQ : F´Q = PF : PF´
が成り立つとき、法線は ∠FPF´ を二等分していることになるわけです。
◈ まず、標準的な楕円 ( b = √ a 2c 2  ) で焦点の座標は、
c = √ a 2b 2 
となって、F ( c , 0 ) , F´ (-c , 0 )
 接線 l の傾きは、[b 2 x1  ∕  a 2 y1 ]。
 直線 m の傾きは、[ a 2 y1  ∕  b 2 x1 ]。
● したがって、m の方程式は、
yy1 =    a 2 y1   ( xx1 )
 
 b 2 x1 
となるので、y = 0 のとき、
-   b 2 x1   y1 = ( xx1 )
 
 a 2 y1 
x = x1 -   b 2 x1    =    a 2 x1b 2 x1 
   
a 2 a 2
  =    ( a 2b 2 ) x1    =    c 2 x1 
   
a 2 a 2
 ここで、先に〈楕円の準線と離心率〉で計算した、
 楕円の離心率 e の値を用います。
 ▣  e = c  ∕  a
● 以上より、点 Q x 座標は、
∴  x = e 2 x1
 また、焦点の x 座標は、
 ▣  c = a e
であるから、
FQ = | a ee 2 x1 |
F´Q = | (-a e ) - e 2 x1 |
∴  FQ  = e | ae x1 |
∴  F´Q = e | ae x1 |
◈ 次に、PF, PF´ の長さは、
▣ c 2 = a 2b 2
▣ y12 = b 2 (1 - x12  ∕  a 2 ) = b 2 - ( b 2  ∕  a 2 ) x12
より、
PF 2 = ( x1c ) 2y12 = x12 - 2 c x1c 2y12
  =  x12 - 2 c x1 + ( a 2b 2 ) + b 2 - ( b 2  ∕  a 2 ) x12
  =  x12 - 2 c x1a 2 - ( b 2  ∕  a 2 ) x12
  =  a 2 - 2 c x1 +    a 2b 2   x12
 
a 2
  =  a 2 - 2 c x1 +    c 2   x12
 
  a 2 
  =  a 2 - 2 a e x1 + ( a 2 e 2  ∕  a 2 ) x12
  =  a 2 - 2 a e x1e 2 x12
  =  ( ae x1 ) 2
PF´ 2 = ( x1c ) 2y12  =  a 2 + 2 a e x1e 2 x12
    =  ( ae x1 ) 2
∴  PF  = | ae x1 |
∴  PF´ = | ae x1 |
● したがって、
FQ : F´Q = e | ae x1 |  :  e | ae x1 |
       =  | ae x1 |  :  | ae x1 |
であるから、
∴  FQ : F´Q = PF : PF´

 ⛞ 媒介変数 θ を使った楕円上の点 P (x, y) の値と接線と法線
 (線分 FF´ と法線との交点を Q とし、点 Q x 軸上もしくは y 軸上の値を q として算出します。)
 ◎ a > b だと横長の楕円に、b > a だと縦長の楕円になります。
  θ =  ° a =  b =  c = 
   x =  y =  q = 

 今回の JavaScript によるプログラムも、このページ内に同梱しています。

0 件のコメント:

コメントを投稿