『好きになる数学入門 3』〔宇沢弘文/著〕
第 7 章 双曲線 「双曲線の接線の方程式」
(pp.118-119)
双曲線の接線の方程式も、楕円の場合と同じようにして計算することができます。つぎの方程式によって与えられる双曲線を考えます。(3) | x 2 | - | y 2 | = 1 |
a 2 | b 2 |
(4) m x + n y = 1
によってあらわされるとします。接線の方程式 (4) が双曲線上の点 P = ( x0, y0) を通るから、連立方程式 (3), (4) の解
x0 2 | - | y0 2 | = 1 , m x0 + n y0 = 1 |
a 2 | b 2 |
(pp.118-119)
「双曲線の接線の方程式」
双曲線上の点 P = ( x0, y0) における接線の方程式はx0 x | - | y0 y | = 1 |
a 2 | b 2 |
x0 ( x - x0 ) | - | y0 ( y - y0 ) | = 0 |
a 2 | b 2 |
◎ 定理に記述されている点 T の座標の位置関係は、下の作図例を参照してください。
✐ この定理を証明する方法として、たとえば 2 つの焦点 F, F´ からそれぞれ接線に下(おろ)した、垂線の足を G, G´ としたとき、三角形 PFG と三角形 PF´G´ が互いに相似であるということを証明すればよいという内容が、上の引用文に続けて、計算式とともに記述されています。
―― その証明のための計算式はかなり込み入ったものでして、その方法を参考にしつつ、別の視点からの考察も含めて、本日公開したサイトで検証しています(一応いつものごとくこの末尾でリンクしています)。
◎ 考え方の概略だけを、ここでは述べておきましょう。
〈内角の二等分線と辺の比の定理〉の応用
✐ 接線が ∠FPF´ の二等分線になっているという定理では、
ひとつには、
PF : PF´ = TF : TF´ であることが証明されればよいとわかります。
⛞ その証明のための、
双曲線の 2 焦点を F ( c , 0 ) , F´ (- c , 0 ) とし、
双曲線を描く軌跡の座標を、点 P ( x0, y0 ) としたときの、
PF, PF´ の長さの計算
および
双曲線の接線と x 軸との交点を T としたときの、
TF, TF´ の長さの計算
〈三角形の相似条件と三角比〉の関係性
✐ いっぽう直角三角形では
三角比(三角関数)を用いることができるので、
焦点 F, F´ から接線に下した、垂線の足を G, G´ としたとき、
● ∠PGF = ∠PG´F´ = 90 °
は前提条件となっており、さらにここで、θ = ∠FPG とすると、● sinθ = FG ∕ PF
となるので、結果として、2 辺の比であるPF : FG = PF´ : FG´ が証明されればよいとわかります。
⛞ その証明のための、 FG 及び FG´ の長さの計算。
▣ 作図例では、数値の変更をともなう G, G´ の計算結果を、スカイブルーの丸で塗っています。
◎ 以上のことが証明された結果、
焦点 F から双曲線上の点 P に向けて放たれた光は、
「もうひとつの焦点 F´ から点 P に向けて放たれた光が直進する方向」に(向けて)反射する、ということが理解できるわけです。
◈ 焦点が F ( c , 0 ) と F´ (- c , 0 ) で、
準線の方程式が[ x = a 2 ∕ c ]で表される
双曲線の接線の作図。
(ただし a の値は c の 倍とします)
c = a =
y0 = x0 =
PF = PF´ =
▣ PF ∕ PF´ =
TF = TF´ =
▣ TF ∕ TF´ =
FG = FG´ =
▣ FG ∕ FG´ =
⛞ 合成関数の微分に関する定理
● u = g (x) に関して、x の増分 Δx に対する u の増分を Δu とします。● y = f (u) に関して、u の増分 Δu に対する y の増分を Δy とします。
● y = f (u) = f ( g (x) ) が成り立って、
dy | = | d | f ( g (x) ) = f ´( g (x) ) g ´(x) |
dx | dx |
= f ´(u) g ´(x) = | dy | ∙ | du |
du | dx |
▣ 双曲線の接線の方程式は、合成関数の微分の定理を用いて計算できます。
x 2 | - | y 2 | = 1 |
a 2 | b 2 |
x0 x | - | y0 y | = 1 |
a 2 | b 2 |
✐ 双曲線の方程式の両辺を x で微分します。
2 x | - | 2 y | ∙ | dy | = 0 |
a 2 | b 2 | dx |
dy | = | b 2 | ∙ | 2 x | = | b 2 x |
dx | 2 y | a 2 | a 2 y |
b 2 x0 |
a 2 y0 |
y - y0 = | b 2 x0 | ( x - x0 ) |
a 2 y0 |
∴ a 2 y0 ( y - y0 ) = b 2 x0 ( x - x0 )
● この両辺を a 2 b 2 で割って、y0 y - y0 2 | = | x0 x - x0 2 |
b 2 | a 2 |
∴ | x0 x | - | y0 y | = | x0 2 | - | y0 2 |
a 2 | b 2 | a 2 | b 2 |
▣ | x0 x | - | y0 y | = 1 |
a 2 | b 2 |
● x = | a 2 | ( y0 y / b 2 + 1) |
x0 |
● y = | b 2 | ( x0 x / a 2 - 1) |
y0 |
双曲線の接線と直交する直線の方程式
双曲線の接線の、y 軸に対する傾き m は次のようになります。m = | a 2 y0 |
b 2 x0 |
n = - | b 2 x0 |
a 2 y0 |
それぞれ焦点 F ( c , 0 ) , F´ (- c , 0 ) を通ることになります。
● したがって、その方程式は、
x = n y + c
x = n y - c
の 2 通りになって、それぞれが、接線と垂直に交わるのです。▣ 連立方程式の解を求めることで、交点 G の座標は計算できます。
【計算】(交点 G´ の座標も同様の計算で)
● x = | a 2 | ( y0 y / b 2 + 1) = m y + | a 2 |
x0 | x0 |
● x = n y + c
a 2 y0 | y + | a 2 | = - | b 2 x0 | y + c |
b 2 x0 | x0 | a 2 y0 |
a 2 y0 | y + | b 2 x0 | y = c - | a 2 |
b 2 x0 | a 2 y0 | x0 |
∴ y = (c - | a 2 | ) ÷ ( | a 2 y0 | + | b 2 x0 | ) |
x0 | b 2 x0 | a 2 y0 |
JavaScript : 円錐曲線の準線と接線
http://theendoftakechan.web.fc2.com/eII/hitsuge/arcus/hyperbola.html
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