2020年5月20日水曜日

放物線と《光の入射角・反射角》

 ◯ 最初に円錐曲線の定義などについて、前回までの説明で不足している部分を補いつつ、整理しておきましょう。

  放物線 (parabola) の定義
⛞ 放物線とは「定点 F とそれを通らない定直線 l から等距離にある点 P の軌跡」をいう
⛞ 定点 F を「焦点」といい、定直線 l を「準線」という
  楕円 (ellipse) の定義
⛞ 楕円とは「 2 定点 F, F´ からの距離の和が一定である点 P の軌跡」をいう
⛞ 楕円上の点 P と焦点 F もしくはからの距離の比が一定である定直線を準線という
⛞ ただしこの一定の比率 e 0 より大きく 1 よりも小さくなる
  双曲線 (hyperbola) の定義
⛞ 双曲線とは「 2 定点 F, F´ からの距離の差が一定である点 P の軌跡」をいう
⛞ ただし 2 定点 F, F´ からの距離の差は 0 より大きく FF´ よりも小さくなる
⛞ 双曲線上の点 P と焦点 F もしくはからの距離の比が一定である定直線を準線という
⛞ ただしこの一定の比率 e 1 よりも大きくなる

 ⛞ 放物線の離心率
 放物線では、点 P から準線 l に下(おろ)した垂線の足を Q として、PF : PQ は、常に同じ値 ( 1 : 1 ) となることが条件になっていました。
◈ 離心率というのは、この一定の比率を e で表したものです。
 ⛞ 楕円の離心率
 楕円でも、点 P から準線 l に下した垂線の足を Q として、
 e = PF : PQ が一定の値 ( c : a ) となります。
 ⛞ 双曲線の離心率
 双曲線でも同様に、点 P から準線 l に下した垂線の足を Q として、e = PF : PQ が一定の値 ( c : a ) となります。
 ⛞ 円錐曲線と円の離心率
▣ e = PF ∕ PQ ( = PF : PQ ) の比率は、円錐曲線のそれぞれ(楕円・放物線・双曲線)で、一定の比率として用いられます。
▣ 円は、楕円の焦点が 1 つに重なった特別な場合として、
  e = 0 と考えることができます。
 まとめると、
▸  (circle) の離心率 ⇒  e  =  0
▸ 楕円 (ellipse) の離心率 ⇒  0  <  e  <  1
▸ 放物線 (parabola) の離心率 ⇒  e  =  1
▸ 双曲線 (hyperbola) の離心率 ⇒  e  >  1

 ◯ ここで、円錐曲線について、資料を参照しておきます。
『算数・数学活用事典』〔武藤徹・三浦基弘/著〕
 5 章 幾何の発展
2. 円錐曲線
 (p.92)
 エウクレイデスにも、『円錐曲線論』( 8 巻)があったようですが、失われています。メナイクモス、アリスタイオスの業績を集大成したものであったと考えられています。
 アポロニオス Apollonios、前 262 頃~前 200 頃)は『円錐曲線論』( 8 巻)を著しましたが、初めの 4 巻はギリシャ語で、はじめの 7 巻はアラビア語で、残っています。第 8 巻は、失われました。
 アポロニオスの円錐面は、円を含む平面外の 1 点と、円周上の 1 点を結ぶ線分を両側に延長した直線の描く曲面です。斜円錐を含みます。
 1 つの円錐面を平面で切るとき、切り方によって、切り口の曲線が、現代の記号で、
y2 = axbx2
y2 = ax
y2 = axbx2
と表されることを発見し、それぞれ、
エレイプシス ( ελ-λειψις )
パラボレー ( παρα-βολη )
ヒューペルボレー ( υπερ-βολη )
と名付けました。不足、釣合、過剰という意味で、楕円、放物線、双曲線と訳されています。
 第 1 巻で接線、法線が、第 3 巻で焦点が、扱われています。放物線を回転させて作った凹面鏡は、オリンピックの聖火の採火に用いられています。これは、鏡面に差し込んだ平行光線が 1 点に集まることを利用しています。この点を焦点 (focus) と名付けたのは、ケプラーです。

◎ 焦点から放物線に向けて放たれた光は、x 軸と平行な方向に反射します。
► 条件として、放物線の焦点を点 F ( c , 0 )
軌跡を描く点を点 P ( px , py )
準線の方程式を[ x = - c ]とします。
▣ 作図例の数値の変更による計算で確認しましょう。

◈ a = c とする放物線で、次の方程式が成り立ちました。
x =   1  y 2
 
  4 a  
◈ 光の入射角と反射角を求めるために、接線を引きます。
   接線の方程式は次の通り。
x =     py    ypx
 
  2 a  
◎ 放物線の接線と x 軸との交点を T とするとき、
 PF = PQ
 TF = PQ
∴  TF = PF
が成り立って、三角形 FPT は二等辺三角形となります。

    ∠ FTP = Arctan  py
 
  2 px  
= NaN (rad) = NaN °
∠ FPS = ∠ PFT = π - Arctan  py
 
  pxc  
= NaN (rad) = NaN °
∴  ∠ FPT = π - ∠ FTP - ∠ PFT
= NaN (rad) = NaN °

 c   =  
py  =  
px  =  

【放物線の反射角の検算のために】
▣ 放物線の接線の方程式に、y = 0 を代入して、
  x 軸上の点 T ( t , 0) の座標の値 t を求めます。
x =     py    ypx    ∴  t  =  - px
 
  2 a  

 例のごとく、今回の JavaScript のスクリプトも、このページ内に同梱してあります。

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