2017年4月8日土曜日

〝状態量〟と〝物理量〟の混同の反省と訂正

〈エントロピー〉は〝状態量〟であるということ
と題して書いたのは、もう早やひと月ほど前になる、3 月 7 日のことでした。
その、タイトル自体に問題はないのですが、最初と最後の本文を抜き書きしてみれば、

――〔参照開始〕――
 クラウジウスは、〝熱量÷温度〟を〈エントロピー〉という状態量であるとしました。

状態量というのは、たとえば、〝長さ〟や〝重さ〟などの状態をあらわす量で、
通常は数字に、単位(メートルやキロメートル・グラムやキログラムなど)をつけて、
その数値がどのことに関しての量であるかを、示すことになっています。
ほかにも、体積や気圧・圧力など、さまざまにあります。
つまり、状態量というのは、ぶっちゃけ、〝長さ〟や〝重さ〟などの数(かず)のことです。

そういうわけで、身長にも体重にもそれなりに、単位が、ついてきます。
でなければ、体重が、50 トンかも知れません。

…………

 しろうとなりに考えて、このような結論となった次第で、
――あとは専門家に確認してみてください。
――〔参照終了〕――

とまあ、最後には、いかにも「わたしゃしろうとですので責任はもてません」とばかりな言い逃れの保険と解釈するしかない終わり方をしていますが、実際に、このたび気になってたまたま読み返せば、とんでもない勘違いというか、デタラメが書かれていたので、ここである程度の訂正をさせていただきたく思います。
 どうやって、そんな思い込みができたのか、いまとなっては想像するしかないのですが、明らかに、〝状態量〟と〝物理量〟を混同して、書いています。

財団法人国際科学振興財団/編『科学大辞典』第2版(平成17年2月28日 丸善発行)
の 684 ページで確認すれば、状態量は、
物質の熱力学的状態によって定まる物理量。圧力、温度、体積、内部エネルギーなど。
と簡潔に明記されていますので、そこからどうして〝長さ〟や〝重さ〟などの数になろうと勘違いして思い込めたのか、さっぱりわかりません。
それが物理量なら、『広辞苑』第六版の説明では、
物理系の性質を表現し、その測定法、大きさの単位が規定された量。位置・質量・エネルギーなど。
ということなので、まあ該当します。

 以上の再確認後に反省しつつ眺めれば。そもそもは、単位の説明のために持ち出した用語なので、最初は〝物理量〟として書き、途中に但し書きで、〝状態量は物質の熱力学的状態によって定まる物理量〟と追加説明をすれば、それなりに問題なかったろうかと思われるのですが、正確な表現方法は、やはり最後は専門家にご確認いただくしかありません。
 このたび、そのように、訂正させていただきます。

 それにしても。ひとは誰しも勝手に思い込むものなのです。
 ちょうどそのころに追加で引用させていただいた文献にも、事実確認を怠ったゆえに勘違いしたまま書くことの恐ろしさが刻まれていました。この機会にまた改めて、なのです。著者述懐の文脈に興味をもたれましたら、資料名のクリックで、そのときの引用文の全文に移動します。

花粉ではブラウン運動は到底考えられない。このように、物体が大きくなるとブラウン運動の影響は現れなくなる。わたしも一五年近く前に、著書の中にブラウンが顕微鏡で水の中で花粉の動いているのを見たと書いて人に注意された。それを書く前に多少気になっていたが、もとの文献の確認を怠ったことを心に恥じ、そのまま無反省に自分の著書に入れることの恐ろしさを知った。
ブルーバックス『エネルギーで語る現代物理学』小野周/著 (p.97)

 専門家の著述でもそうなのであれば、基本的には複数の文献にあたって〝裏〟をとる作業は欠かせない、ということになろうかと。
 とりあえずは、自身の間違いについては。今回確認できた状態量の混乱と正当な意味を訂正すべき当日分の末尾に「追記」しておくしかありませんでした。そのように為すべき訂正は、為して。
 そして、専門家でも錯綜する記述と自戒の一念を本日の最後に……。

☆ それ、は、わたしの希望と絶望に、
いまもしくは今後どのような影響をおよぼすのか。

 退屈かもしれない理論にもしや混乱や矛盾があったとして、それでいまの時間がフリーズするわけではない。
 明日にはまた新しい変化が起きるのだから。

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