2017年4月27日木曜日

進化する進化論と「戦略ゲーム」

 19 世紀に、ヒューエルが「サイエンティスト」という単語を発明しました。
 1834 年のこととされています。
 物理学が自然哲学から独立していく過程で、自然科学者の登場となります。文明開化後の日本でそれは「科学者」という言葉になりました。
 1859 年には、ダーウィンの進化論『種の起原』が発表されています。ダーウィン以前にも、さまざまな「進化論」があったようです。
 ダーウィンの進化論が衝撃的だったのは、その仮説が、神を必要としなかった点です。
 1865 年にはメンデルが遺伝の研究を発表しましたが、その発見はあまり注目されませんでした。それが〝再発見〟されたのは、1900 年とされています。その年に、波乱に満ちた 19 世紀が終わります。
―― 激動の 20 世紀は、1901 年から始まります。
 進化論は、20 世紀になって新しくできた「ゲーム理論」を味方につけて、さらなる進化を遂げようとしている感があります。
 ダーウィン以来、進化論も進化しなければ淘汰されてしまうのですよってに。
 その新しい理論が「進化ゲーム理論」です。
 進化ゲームにでてくる、ESS (Evolutionarily Stable Strategy) は、日本語で「進化的安定戦略」と翻訳されています。

MAYNARD SMITH, J. (1982) 
Evolution and the Theory of Games. Cambridge University Press.
メイナード=スミス, J. 『進化とゲーム理論』寺本英・梯正之訳(産業図書)

 上記資料が、その筆頭参考文献にあげられます。たとえば次のように紹介されています。

J・メイナード=スミスの力が必要であった。彼は、G・R・プライスと G・A・パーカーとの共同研究で、ゲームの理論とよばれる数学の一分野を利用した。…………
 メイナード=スミスが提唱している重要な概念は、進化的に安定な戦略 (evolutionarily stable strategy) とよばれるもので、もとをたどれば W・D・ハミルトンと R・H・マッカーサーの着想である。「戦略」というのは、あらかじめプログラムされている行動方針である。…………
〔リチャード・ドーキンス『利己的な遺伝子』 (pp.113-114)

 フォン・ノイマンが考案した「ゲーム理論」は、プレイヤーを、自分の勝利だけを目的とする完全に合理的な存在として始まりました。
 その想定は現実の問題ではなく数学の問題を解くために、設定されたのです。
 それが、経済学など現実の社会の問題にも適用できると、評判になりました。
 21 世紀にいたるも「ゲーム理論」は、進化を続け、コンピュータが人間に、将棋で勝つ時代が到来しています。
 人工知能が、人間のデザイン(設計)のもと、進化を開始したのです。


ESS : 進化的に安定な戦略
http://theendoftakechan.web.fc2.com/ess/index.html

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