同等のお話が〝ハンガリー民話〟としてもあるようですが、ここに、猫が脇を固めるイソップ版をもとに脚色してみましょう。さてさて……
二匹の猫が、けんかをしています。
いつもは仲良しなのに、見つけたごちそうの、取り合いを始めたのでした。
けんか、といっても、くちげんかなので、流血騒ぎにはなりません。
そこへ、通りすがりの、パレート最適なキツネが横車を思いつき、公平に分けてやろうと、口車。
天秤のはかりを、もってくるようにいいつけて、自分でごちそうを二つに分けました。
そうして天秤のお皿の左右に乗せると、きっちりと、その重さを比べてみます。
「あれあれ、右のほうが、重いぞ」ぱくり、右から少し減らします。
「今度は、左のほうが、重くなっちまった」ぱくり、左からちょっと減らします。
ぱくり、ぱくり。というのは、公平なキツネが、どんどんごちそうを減らしていく擬音です。
猫たちは、勝手にごちそうを食べていくキツネをあっけにとられて見ているばかり。
「あれれ。こんなに、小さくなってしまっちゃ、もう上手に、はかれやしない」
ごちそうはもう豆つぶほどの、大きさです。キツネは、猫たちをかわるがわるに見つめます。
「しかたがないから、おじさんが、すっかり片づけてあげよう」ぱくり。
はい。ごちそうさん。
パレート最適なキツネに、ほんとは公平さなど、なかったのです。
どんな理不尽でも、全部なくなれば、〈パレート最適〉なのですから。
↓ 〝ハンガリー民話〟版の内容も、こちらに引用させていただきましたので。
イソップ物語:パレート最適なキツネの話
http://theendoftakechan.web.fc2.com/sStage/Pareto/Aesop.html
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