2017年3月16日木曜日

指数の引き算は割り算として考える

単位の話 またたび
思い起こすと、速度の単位は〝メートル毎秒〟などであらわされますが、
加速度になるとこれが〝メートル毎秒毎秒〟などと、わけのわからぬものになります。

これは、たとえば、〝 5 メートル毎秒毎秒〟の加速度という場合、
「 1 秒につき〝 5 メートル毎秒〟の速度が追加もしくは削減される」
ことを表現しています。
(ブレーキも、計算上は、加速度なのです。マイナスをつけて考えます。)

〝 5 メートル毎秒〟というのは、1 秒ごとに 5 メートル移動する能力ですから、
〝毎秒その能力が変化していく〟という状態なわけです。
だから、〝 5 メートル毎秒毎秒〟ということになるのですが……。
それがすなわち、加速している、という状態の表現になるわけですな。
――さっぱり、前に進めない、解説なのですけれども。

割り算で考える
このことは、割り算をあらわしている〈スラッシュ / 〉を使って書いてみると、
少しはわかりやすくなるかもしれません。
〝 5 メートル毎秒〟は〝 5 メートル / 秒〟と書くことになっています。

これが、〝 5 メートル毎秒毎秒〟の加速度ということであれば、
〝( 5 メートル / 秒) / 秒〟という具合になります。これで、
(毎秒 5 メートル) の速度が、毎秒( 1 秒ごとに)変化する、という次第です。

それでもって、この〝(メートル / 秒) / 秒〟の単位は、
〝メートル / (秒の 2 乗)〟とも、書かれます。

またこの単位を、割り算の〈スラッシュ / 〉を使わずに、
掛け算をあらわしている〈中黒 ・〉を使って書くと、
〈スラッシュ〉の右側にあった単位はすべて、「マイナス何乗」という表現になります。
〝(メートル) / (秒)〟は、〝(メートル) ・ (秒のマイナス 1 乗)〟というぐあいです。
―― そういう理由で。
〝(メートル / 秒) / 秒〟の単位は、
〝(メートル) / (秒の 2 乗)〟と同じということは、
〝(メートル) ・ (秒のマイナス 2 乗)〟となるわけです。

マイナスされた指数の話
「指数」の足し算は、掛け算になりましたが、ようするに、
「指数」の引き算は、割り算になるというわけで、こういうことになってしまうのです。
どういう計算かというと、たとえば、

10 の 5 乗 × 10 の 3 乗 = 10 の (5 + 3) 乗 = 10 の 8 乗
10 の 5 乗 ÷ 10 の 3 乗 = 10 の (5 - 3) 乗 = 10 の 2 乗

10 の 3 乗 ÷ 10 の 5 乗 = 10 の (3 - 5) 乗 = 10 の -2 乗
1,000 ÷ 100,000 = 10 の (3 - 5) 乗 = (1 / 100)

(10 のマイナス 2 乗) は、100 分の 1 つまり、(1 / 100) です。
これは、割り算で計算してみても、答えはいっしょです。

 こう考えると、

(10 の -1 乗) は、10 分の 1 つまり、(1 / 10) となり、
(10 の 0 乗) は、1 分の 1 つまり、(1 / 1) で、簡単にいうと、1 なわけですね。

―― 0 乗 は 1
 最後の結果 (10 の 0 乗) は、少しばかり、ふに落ちないでしょうか。
 ならば、累乗(冪・べき)ということについての説明を、こう考えてみてはいかがかと。
 同じ数を何回掛けるか、という表現につけ足して、10 の 累乗であれば、
「 1 に、10 を何回、掛けるか、それとも割るか」として考えてみれば、少しは納得できるかもしれません。

 たとえば、3 の 累乗なら、
「 1 に、3 を何回、掛けるか、それとも割るか」として考えれば、

1 × 3 × 3 × 3 = 1 × (3 の 3 乗) = 27

なので。
 このとき、3 を、1 回も掛けないのであれば、答えは、1 となりましょう。
 ゼロを掛ければ、答えはいつもゼロなのですが、何も掛けないのなら、答えは、もとのままというわけで。

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