2020年3月23日月曜日

フィボナッチ数列とヒマワリの種の螺旋

  ●   数列というのは、ようするに数を並べたものです。
 ◯  普通は、何らかの規則にしたがって並べられた数列を扱いますけれども、規則的でない数列もあります。
 ✥ フィボナッチ数列の計算
 数列は基本的に { an } という記号で表されて、このとき an を数列の一般項といいます。
● 数列の項を、
先頭から順に初項(第 1 項)、第 2 項、第 3 項、…… といい、
先頭から n 番目の項が n となります。
 自然数の集合は数列として、
1, 2, 3, 4, 5, 6, ……
と、書けるので an = n となります。
◎ 偶数は自然数を n として n × 2 なので、
偶数の数列の一般項は an = 2n となり、
すると奇数では、数列の一般項は an = 2n - 1 と、なるわけですね。
 自然数や偶数とか奇数といった、項の個数が無限にある数列を《無限数列》といい、項の個数が有限な数列を《有限数列》といいます。
 有限数列では特に、項の数が値として決まるので《項数》が定まって、また《末項》といわれる最後の項が存在することになります。
● 有名な数列に〈フィボナッチ数列〉があります。
a1 = 1
a2 = 1
an = an - 2an - 1 ( n = 3, 4, 5, ……)
⛞ フィボナッチ数列の定義
F1  =  F2  =  1, Fn+1  =  FnFn-1 (n ≧ 2)
⛞ ビネの公式
Fn =   1 { (   1 + √ 5   ) n  -  (   1 - √ 5   ) }
         
 √ 5  2 2
ひとまずこの〈フィボナッチ数列〉の第 10 項までと、
続けて第 11 項から第 20 項までを、順に書いてみましょう。
1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55
89, 144, 233, 377, 610, 987, 1597, 2584, 4181, 6765
ついでに、第 53 項までを JavaScript で表示可能にしておきます。
     n = 
n
n + 1
n + 2
n + 3

 ◈ この数列は自然界でも、ヒマワリの種の並び方などに現れていて、『ひまわりの黄金比』という本にそのことが詳しく紹介されています。

『ひまわりの黄金比』
形の科学への入門
根岸利一郎[ねぎし・りいちろう]/著
2016年04月20日 日本評論社/発行
1.3 連なりらせん
 (p.8)
 ヒマワリの花は、種がらせん状に連なっている。これを「連なりらせん」という。
2.1 ヒマワリらせんを真似る
 (pp.14-15)
 種の位置を円座標で表示するために、動径 r と偏角 θ[シータ]を決める。ヒマワリの花が円盤状に成長し、茎からの養分流入量 n が一定の厚さ d の円盤状に成長して半径 r になったとすれば、その花の体積 dπr2 は流入量 n に等しい。だから、もし厚さが成長に伴って変化しないなら、半径 r n1/2 に比例する。ヒマワリの種を点として描く場合、その最初の位置は、この比例定数を 1 とすれば中心からの距離が r1 = 11/2 、円の中心から見た種と種の間の中心角である開度を φ[ファイ]とすれば偏角 θ φ の位置に決まる。だから、その位置は (11/2 , φ ) になる。2 番目の点は (21/2 , 2φ ) 、その次は (31/2 , 3φ ) 、…、そして n 番目は (n1/2 , nφ ) となる。実際のヒマワリの種が n 個付くなら、最初に生まれるのがこの n 番目であり、最後が 1 番目であって上で見た順番とは逆になる。逆でも位置の描画結果は変わらないので簡単のためにこの表記にしてある。φ としては円周 360° を黄金比 τ[タウ]に分割する角度として 360° × (1 - 1/τ ) = 137.50 ° が多く使われる。この角度は黄金角(フィボナッチ角とも言う)と呼ばれる。ここでもこの角度から始めてみよう。たとえば、n200, 1000, 2000, 5000 としてそれぞれを描くと図 2.4〔図は省略〕のようにほぼ一様に充填 1) される。ヒマワリでは種のできる花の原基が頭状花中央の微小半径 r0 周辺に順に出来て成長するが、ここでは簡単のためにこの r0 を無視している。Excel を使って描けるので、補足 A や文献 [19] を参照してほしい。
 描画した各点はらせん状に連なっているので、数えやすい連なりの本数を周辺部に沿って数える。n = 200 のときは 21 本と 34 本が目立つ、これを 21 ∕ 34 と書こう。n 1000 では 34 本と 55 本が目立つが、よく見ると 21 本も見える。だから 21 ∕ 34 ∕ 55 となり、この連なりらせんの本数 21 ∕ 34 はこの章の冒頭で数えた枝に咲く小さなヒマワリのらせん数に一致する。

1) 「充填」は平面での並びに隙間を許す並び方。ちなみに「敷き詰め」は隙間がなく、「被覆」は重なりを許す [20]
[19] Negishi, R. and Sekiguchi, K., Pixel-Filling by using Fibonacci Spiral, FORMA, 22, pp.207‑215 (2007)
[20] 形の科学会編集『形の科学百科事典』、朝倉書店 (2013)

 ✥ ヒマワリの種のらせん
 『ひまわりの黄金比』「補足 A の解説に基づく作図
 【省略した図のうち n = 200 のらせん図】
  数をカウントするらせんの向き
   : 外側から中心へ向かって  右旋回
  描画されたポイント(点)のデータの順番を


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