―― 日本語の〈冪・方冪〉は、英語では〈power〉といいます。
⦻ 方冪(ほうべき)の定理 (power theorem) は、円と直線についての掛け算の法則になります。
参考書にかなり詳しく解説されていましたので、まずはその内容を参照してから、その記述に基づき参考図を作図してみたいと思います。
『高校と大学をむすぶ幾何学』
第 6 章 6.1 方べきの定理
(p. 79)円 O と点 P が与えられたとする。点 P を通り円 O と 2 点 A, B で交わる直線を引いたとき、積 PA∙PB の値を円 O に関する点 P の方べきという。ここで、P は円 O の内部にあっても外部にあってもよい。また、P が円周上にあるときは、P = A または P = B だから、PA∙PB = 0 であると考える。方べきの定理は、方べきが直線の引き方に無関係に一定であることを主張する定理である。
定理 6.1(方べきの定理)
円 O と点 P が与えられたとする。点 P を通る 2 本の直線が円 O とそれぞれ 2 点 A と B、A′ と B′ で交わるとき、等式PA ∙ PB = PA′ ∙ PB′ (6.1)
が成り立つ。
(p. 80)
定理 6.2(方べきの定理)
半径 r の円 O と点 P が与えられたとする。点 P を通る直線が円 O と 2 点 A と B で交わるとき、等式PA ∙ PB = | r ∙ r - OP ∙ OP | (6.2)
が成り立つ。ただし、点 O は円 O の中心である。
(p. 81)
定理 6.3(方べきの定理)
円 O の外部の点 P を通る直線が円 O と 2 点 A, B で交わるとする。点 P から円 O に引いた接線の接点を T とするとき、等式PA ∙ PB = PT ∙ PT (6.3)
が成り立つ。
定理 6.4(方べきの定理の逆)
相異なる 4 点 A, B, C, D がある。2 直線 AB と CD が 1 点 P で交わり、次の (1), (2) の一方が成り立つとする。(1) P は線分 AB と線分 CD の上にある。
(2) P は線分 AB の上になく、線分 CD の上にもない。
このとき、もし等式
PA ∙ PB = PC ∙ PD (6.4)
が成り立つならば、4 点 A, B, C, D は同一円周上にある。
〔大田春外/著『高校と大学をむすぶ幾何学』 2010年09月15日 日本評論社/発行 より〕
✥ 〈方冪の定理〉の参考図
[ PA ∙ PB = PA′ ∙ PB′ ] ⇒ [ PA ∙ PB = PC ∙ PD ]
⛞ 〈方冪の定理〉の解説 ⛞
〔 ※ 以下の説明文ではすべて、上記参考書の定理に記載された A′ は C に、B′ は D に、記号を変更しています。〕
▶ 第 1 図 (定理 6.1 の条件)で、点 P が、円周の内側にある場合。▶ 第 2 図 (定理 6.1 の条件)で、点 P が、円周の外側にある場合。
◎ △PBC と、△PDA は、相似な図形である。
* 理解しやすいように、点 A と点 C が、円の右側にある場合で考えてから角度の変更を試してみる。
✥ 証明
円周角の定理より、∠PBC と ∠PDA は、両方とも弧 AC に対する円周角なので、∠PBC = ∠PDA 。同じく、∠PCB と ∠PAD は、ともに弧 BD に対する円周角なので、∠PCB = ∠PAD 。
(また、∠BPC と ∠DPA は対頂角なので、∠BPC = ∠DPA 。)
∴ △PBC ∽ △PDA
したがって、PC : PB = PA : PD から、PC / PB = PA / PD が成り立つ。
∴ PA ∙ PB = PC ∙ PD
▶ 第 3 図 (定理 6.2 の条件)で、点 P が、円周の内側にある場合。▶ 第 4 図 (定理 6.2 の条件)で、点 P が、円周の外側にある場合。
◎ △PBC と、△PDA は、相似な図形である。
∴ PA ∙ PB = PC ∙ PD
第 3 図では、PC = r - OP
PD = r + OP
∴ PA ∙ PB = (r 2 - OP) ∙ (r 2 + OP)
∴ PA ∙ PB = r 2 - OP 2
第 4 図では、PC = OP - r
PD = OP + r
∴ PA ∙ PB = (OP - r) ∙ (OP + r)
∴ PA ∙ PB = OP 2 - r 2
したがって、次のことが、成り立つ( | x | は、x の絶対値)。r 2 - OP 2 = | r 2 - OP 2 | = OP 2 - r 2
∴ PA ∙ PB = | r 2 - OP 2 |
▶ 第 5 図 (定理 6.3 の条件)で、点 T が、円の下側にある場合。▶ 第 6 図 (定理 6.3 の条件)で、点 T が、円の上側にある場合。
◎ 直線 PT は、円 O の接線なので、∠PTO は直角。
⇒ △OPT は直角三角形なので、ピタゴラスの定理より、
∴ OT 2 + PT 2 = OP 2
∴ PT 2 = OP 2 - OT 2 = OP 2 - r 2
である。また、第 4 図では、点 A, B, P が同じ配置にあって、PA ∙ PB = OP 2 - r 2
が、成り立っていたので、次のことが成立する。∴ PA ∙ PB = PT 2
▶ 半円に描く三角形の図は、この解説と同様の考え方となる。〔図の説明は⛞ もうひとつの考え方 ⛞(第 3 図) を参照のこと〕
▶ 第 7 図 (定理 6.4 の条件)で、△ABC の外接円 O を描く。(1) P は線分 AB と線分 CD の上にある。
(2) P は線分 AB の上になく、線分 CD の上にもない。
相異なる 4 点 A, B, C, D があって、2 直線 AB と CD が 1 点 P で交わり、上記のどちらか一方の条件が満たされて、かつ、
● PA ∙ PB = PC ∙ PD
であれば、4 点 A, B, C, D は同一円周上にある、ということを証明せよという命題であった。◎ 図では、点 C は、円 O の円周上にあり、直線 PC は、円 O の接線。
この図で命題の条件を満たすためには、線分 AB の上に点 P がないので、(2) の場合となるが、(2) の場合であるなら、点 P は線分 CD の上にもないはずなので、点 P から見て、点 D は点 C の方向にあることになる。
◈ しかしながら、すでに(定理 6.3 の条件で)、
PA ∙ PB = PC 2
は判明しており、ここで同時に、● PA ∙ PB = PC ∙ PD
という条件を満たすためには、PC 2 = PA ∙ PB = PC ∙ PD
が、成立しなければならないのであるけれども、PC 2 = PC ∙ PD
であれば、[ PC ∙ PC = PC ∙ PD ]となり、すなわち、[ PC = PD ]が必要な条件となる。◈ これは「相異なる 4 点 A, B, C, D 」という条件に反するので、この図は、成立しない。
となれば、先の第 1 図か第 2 図の場合に、限定されてくる。
最後までの詳しい証明は、参考とした「大田春外/著『高校と大学をむすぶ幾何学』(p.82)」に掲載されているので、参照されたし。
◆ JavaScript での書式(具体的な書き方)などは、実際のスクリプトを参照してみてください。
―― 前回分と合わせ、コピペしてそのまま使える、JavaScript の見本をテキスト化して掲載したページを、以下のサイトで公開しています。
外接円・内接円・傍接円
http://theendoftakechan.web.fc2.com/eII/hitsuge/arcus/arch.html
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