2017年3月11日土曜日

NEGATIVE ENTROPY : ネガティブ・エントロピー

1944 年初版の著書で、シュレーディンガー (Schrödinger) は、
“It feeds upon negative entropy” と書き、それが、
生物体は「負エントロピー」を食べて生きている〟と翻訳されました。
ちなみに、その前のセクションタイトルの表記では、
IT FEEDS ON ‘NEGATIVE ENTROPY’ となっています。

“The Oxford English dictionary” Second Edition によれば、
1950 年、ブリルアン (Brillouin) は、
negative entropy (abbreviation: negentropy)、これを訳すなら、
ネガティブ・エントロピー(省略形:ネゲントロピー)〟と、記しています。

 シュレーディンガーの〝ネガティブ・エントロピー〟というのは、ボルツマンの〈 H 定理〉が、意識されているようです。
 ボルツマンの、〈 H 〉は、マイナス符号をつければ、クラウジウスの〈エントロピー S 〉と同等なものでした。

 一方で、ブリルアンの省略形〝ネゲントロピー〟は、シャノン (Shannon) の〈情報エントロピー〉を意識したものです。
 すなわち ――〝情報〟がもたらすものは、〝混乱〟を想起させる〈エントロピー〉ではなく、その反対の〝秩序〟であるはずだと。
 だから、〝情報〟の価値を表現すべき〈エントロピー〉は、それにマイナス符号をつけた〝負のエントロピー〟である、〈ネゲントロピー〉がふさわしい、としたようです。

これはつまり、マイナス・イメージのものに、さらにマイナス符号を加えれば、
〝マイナス ×(かける)マイナス〟で、プラスのイメージに変換される、
という発想であると、解釈可能なわけですが。

ところで、ここでブリルアンによっても「いうまでもない前提」とされている、
一般論としての「〈エントロピー〉は〝混乱・無秩序〟と同等である」
という、認識・概念は、どこからやってきたものなのでしょうか。

 統計力学的〈エントロピー〉は、
とてもじゃないけど、細かい情報は記述してられないので、全体を統計・確率的に考えて、近似値で表現しよう
という、態度のように、素人なりにも陰ながら思っていたものです。

 つまり、〈エントロピー〉は、小数点以下何十桁の数値のように、四捨五入して捨てられた、情報では、なかったでしょうか。
 結局、「エントロピーの増大」とは、「管理しきれない細かな情報がどんどこ増えていく」現代の状況を、はからずも表現したものではなかったでしょうか?
 管理社会では、管理しきれない情報は、混沌としているがゆえに「混乱・無秩序」と、みなす独断が、最善とされているようです。

一方で、マクスウェルの魔物は、将来開発されるかも知れない、
高性能の計測器・計算機の暗示でも、あったとされています。


Schrödinger ; NEGATIVE ENTROPY
http://theendoftakechan.web.fc2.com/sStage/entropy/negentropy.html

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