“It feeds upon negative entropy” と書き、それが、
〝生物体は「負エントロピー」を食べて生きている〟と翻訳されました。
ちなみに、その前のセクションタイトルの表記では、
“IT FEEDS ON ‘NEGATIVE ENTROPY’” となっています。
“The Oxford English dictionary” Second Edition によれば、
1950 年、ブリルアン (Brillouin) は、
“negative entropy (abbreviation: negentropy)”、これを訳すなら、
〝ネガティブ・エントロピー(省略形:ネゲントロピー)〟と、記しています。
シュレーディンガーの〝ネガティブ・エントロピー〟というのは、ボルツマンの〈 H 定理〉が、意識されているようです。
ボルツマンの、〈 H 〉は、マイナス符号をつければ、クラウジウスの〈エントロピー S 〉と同等なものでした。
一方で、ブリルアンの省略形〝ネゲントロピー〟は、シャノン (Shannon) の〈情報エントロピー〉を意識したものです。
すなわち ――〝情報〟がもたらすものは、〝混乱〟を想起させる〈エントロピー〉ではなく、その反対の〝秩序〟であるはずだと。
だから、〝情報〟の価値を表現すべき〈エントロピー〉は、それにマイナス符号をつけた〝負のエントロピー〟である、〈ネゲントロピー〉がふさわしい、としたようです。
これはつまり、マイナス・イメージのものに、さらにマイナス符号を加えれば、
〝マイナス ×(かける)マイナス〟で、プラスのイメージに変換される、
という発想であると、解釈可能なわけですが。
ところで、ここでブリルアンによっても「いうまでもない前提」とされている、
一般論としての「〈エントロピー〉は〝混乱・無秩序〟と同等である」
という、認識・概念は、どこからやってきたものなのでしょうか。
統計力学的〈エントロピー〉は、
「とてもじゃないけど、細かい情報は記述してられないので、全体を統計・確率的に考えて、近似値で表現しよう」
という、態度のように、素人なりにも陰ながら思っていたものです。
つまり、〈エントロピー〉は、小数点以下何十桁の数値のように、四捨五入して捨てられた、情報では、なかったでしょうか。
結局、「エントロピーの増大」とは、「管理しきれない細かな情報がどんどこ増えていく」現代の状況を、はからずも表現したものではなかったでしょうか?
管理社会では、管理しきれない情報は、混沌としているがゆえに「混乱・無秩序」と、みなす独断が、最善とされているようです。
一方で、マクスウェルの魔物は、将来開発されるかも知れない、
高性能の計測器・計算機の暗示でも、あったとされています。
Schrödinger ; NEGATIVE ENTROPY
http://theendoftakechan.web.fc2.com/sStage/entropy/negentropy.html
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