彼の〈クラスター理論〉は、日本国家の公式な刊行物にも、
ほとんどそのまんまの文章が用いられるほどの、人気と権威を博している。
その該当箇所について詳しくは、今後触れる機会もあろうかと思うが、
とりあえずは、日本政府による文献資料の明示だけしておこう。
文部科学省編 『平成14年版 科学技術白書』 (P.71) 〔平成 14年 6月 7日発行〕
(M.E.ポーター『競争戦略論Ⅱ』 67 ページ)
その彼が発表した論文に、〈フィランソロピー〉が謳われたのは、2002 年のことだった。
『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌に発表されたそれは、
「競争優位のフィランソロピー」 と題された邦訳がある。
(DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー 2003 年 3月号 ダイヤモンド社/発行)
Michael E. Porter
“The Competitive Advantage of Corporate Philanthropy”
Harvard Business Review, Dec. 2002.
この邦訳は、『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』 2010 年 9月号に、抄録されている。
さて、日本政府も全面的な推進を行っている〈クラスター理論〉というのは、
アメリカの「シリコンバレー」に見られるような形態を、
〈産業集積〉の概念として、積極的に推し進めていこうというものだ。
「情報産業」でさえも、企業が一ヵ所に集約されることで、相乗効果を生むのだ。
――
で。今回は、〈フィランソロピー〉なのであるが、「競争優位のフィランソロピー」には、
『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』 2010 年 9月号(抄録)の冒頭部分(P.97) を見ると、
「フィランソロピー(企業の社会貢献活動)が低迷している。」
という一文があり、おおよその、概念が、日本語化されて示されている。
〈フィランソロピー〉というのが、「企業の社会貢献活動」なのであれば、
――いまさらながらではあるが――、そのようなことは、
日本の故松下幸之助が、昭和の初期、第二次世界大戦敗戦前の日本で、
「水道哲学」と称される経営理念として掲げているのである。
それは、1932 年のことであった。
そういう、いわば、21 世紀型の経営理念として、再評価を受ける〈フィランソロピー〉は、
〈人類愛〉とも邦訳されるが、そもそもそれが英語で用いられるようになったきっかけは、
どうやらフランシス・ベーコンあたりの、時代らしい。
“The Oxford English dictionary” Second Edition
『オクスフォード英語辞典』〔第二版〕にも、
最初の用例として挙げられているのが、ベーコンの著作物からの引用なのである。
どういうわけだか、はこれ以上問わないことにして、
――今回は〈人類愛〉が戦略として有効であるということではない――
そういうわけで、ベーコンの〈 Philanthropy 〉が、注目されるのである。
ロンドン王立協会は、ベーコンの理念を受け継いでいると、評される……。
そしてヨーロッパは、〈科学革命〉から〈産業革命〉の時代へと移行していく。
17 世紀 イギリスの「知と力」と革命と
〔後半〕: ベーコンと実験哲学:「知と力」の革新
http://theendoftakechan.web.fc2.com/nStage/philanthropy.html
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