2017年12月24日日曜日

コンウェイ「ライフゲーム」: ガードナーによる紹介記事

ジョン・ホートン・コンウェイの考案した「ライフゲーム」についての参考資料として、まずは、
『サイエンティフィック・アメリカン』誌にマーチン・ガードナーが連載したコラム「数学ゲーム」があげられます。
―― 参考までに。次のような記述があります。

 1970 年に、コンウェイ (Conway) は「セル・オートマトン」を利用した「ライフ・ゲーム(Game of Life) を提案した。「ライフ・ゲーム」は、数学者ガードナー (Gardner) によって紹介され、有名になった( Gardner (1970, 1971) 参照)。
  Gardner, M.: Mathematical games, Scientific America, 223, 120‐123, 1970.
  Gardner, M.: Mathematical games, Scientific America, 224, 112‐117, 1971.
〔赤間世紀/著『人工生命入門』2010年 工学社/発行 (p.30)

―― さいわいにも、これらの「数学ゲーム」を再録した邦訳書が刊行されています。
別冊日経サイエンス 176『マーチン・ガードナーの数学ゲーム Ⅰ』[新装版]
〔マーチン・ガードナー/著 一松信/訳 2010年 日経サイエンス社/発行〕

このほかにも、「ライフゲーム」を紹介した日本語文献はいろいろとあって、
なかには〝コンピュータ・ゲーム版〟が付属している書籍もあったりします。
数学として、だけでなく、さまざまな分野に影響を与えたゲームなのです。
―― ガードナーの『数学ゲーム Ⅰ』「第 6 話 ライフゲーム」から、一部を引用しますと。

 セル・オートマトンは 1950 年頃にフォン・ノイマン (John von Neumann) が、自己複製オートマトンの可能性の証明という課題と取り組むようになったときに始まった。…………
 フォン・ノイマンは初めて「動的」な機械のモデルを証明した。それは部品の倉庫をうろつきまわり、必要な部品を探して、自分の複製にはめこむ。その後、友人のウラム (Stanislaw M. Ulam) からの霊惑的な忠告を採用して、そうした機械の可能性を、もっとエレガントに、もっと抽象的な形で証明した。
 フォン・ノイマンの新しい証明には、今日では「一様セル空間」と呼ばれる概念が使われる。それは無限のチェッカー盤と同値である。…… マス目は有限状態のオートマトンの基本的部分であり、生きているマス目の配置は、そういう機械の理想化されたモデルである。
 コンウェイのゲームは、まさにこうした空間に基づいている。彼の隣点は、そのマス目を囲む 8 個のマス目であり、各マス目は 2 つの状態(空白または石がある)をとり、そして推移規則は前に述べた誕生、死滅、生存の規則である。フォン・ノイマンは、各マス目が 29 の状態をもち、4 つの縦横の隣点を使った空間に推移規則を適用して、約 20 万個のマス目からなる自己複製的な配置の存在を証明した。
〔『マーチン・ガードナーの数学ゲーム Ⅰ』[新装版] (pp.38-39)

―― この「第 6 話 ライフゲーム」の最後のページに、
「ライフゲームについて訳者からのひとこと」として、

 ライフゲームのおもしろさは、…… きわめて簡単な推移規則で与えられ、初期状態によってすべてが定まってしまう完全決定系であるにもかかわらず、その変化が「予測不可能」だという点にある。これは、1970 年代に相次いで発見された、ある種の非線形漸化式に生じるカオス現象の一種といえるかもしれない。
〔『マーチン・ガードナーの数学ゲーム Ⅰ』[新装版] (p.47)

と、カオス理論に通じるという内容での考察が述べられています。
カオス理論は、決定論的なはずの、確定的な数式が導き出す不確定性を世に示しました。
コンピュータが登場して、進化論に、新しい時代の人工生命と複雑系の理論が絡みはじめるようです。


分化するクローン細胞 / ハイパーサイクル
http://theendoftakechan.web.fc2.com/ess/systems/cell.html

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