そこにある危機を、未然に察知できる者たちが、おもに生き延びてきたためだ。
だから、何事でもそれに象徴される意味を正しく理解できた者が、生きる権利を与えられるのだと、支配者たちは知っていた。
ひとは、森羅万象の意味を知る必要があった。
そのために、ひとは「神」を創造した。
知らなかったことを、また不用意にしでかしたことを、許してもらうためだ。
そして、最高の権威者によって、必然と定められたルールこそが、自分であるとの証明のために。
彼らの必殺技を、神にささげる儀式という。それは、犠牲を支払い、神から免罪という、祝福を得る行為である。
彼らは、神から、命を買う。彼らはその契約による商行為を「あがない」といい、神聖な行為と称する。
神を思いのままに操ろうとしているかに見える彼らはみずから、「神のしもべ」と称している、らしい。
身代わりの犠牲を献げれば、神の怒りがおさまることも……。
彼らは、神のことなら、何でもお見通しなのである。彼らはそのことを「知っている」。
そのように、神をわがごとくに知る人間は多い。
デカルトなどによっても、神は明瞭に知覚されたので、それがすべての証明となったほどである。
犠牲をささげる他者存在としての……
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