数学上認められている、無限に循環を繰り返す《
循環小数》の計算があります。
「循環小数の作り方」by takechan
1 ÷ 1 = 1
1 ÷ 2 = 0.5
1 ÷ 3 = 0.333333333333333 ……
1 ÷ 4 = 0.25
1 ÷ 5 = 0.2
1 ÷ 6 = 0.166666666666666 ……
1 ÷ 7 = 0.142857142857142 ……
1 ÷ 8 = 0.125
1 ÷ 9 = 0.111111111111111 ……
◎ 〈1 ÷ 3〉〈1 ÷ 6〉〈1 ÷ 7〉〈1 ÷ 9〉が、循環小数となっています。
無限に繰り返される数の上に〈・〉をつけて記述される場合もあります。繰り返しの数が複数にわたる場合には、最初と最後の数字の上にだけ〈・〉をつけます。
上につけられる〈・〉が見つからなかったので、今回は〈̊〉で代用して記述してみることにします。
「循環小数の書き方の模索」by takechan
0.3̊ = 0.333333333333333 ……
0.16̊ = 0.166666666666666 ……
0.1̊42857̊ = 0.142857142857142 ……
0.1̊ = 0.111111111111111 ……
さてここで、数学マジックに惑わされないように気をつけつつ、〈1 ÷ 3〉に注目してみましょう。
これを分数の形で 3 倍すると、もちろん 1 になります。が、小数の形で 3 倍すると、
[(3 分の 1)× 3 = 1 ]
0.3̊ × 3 = 0.9̊ = 0.999999999999 ……
となることは、明白なのです、困ったことに。
◎ そういうわけで、
0.9̊ = 1
であることが数学的に証明されてしまうのだ。説明しよう。
「循環小数に関する証明の一例」
計算を簡単にするために、まず
0.9̊ = a
と記号化して、それを 10 倍してから、1 倍を引く。
a × 10 = 10a
10a - a = 9a
これを、実際の数字でやってみる。
0.9̊ × 10 = 9.9̊
9.9̊ - 0.9̊ = 9
したがって、[ 9a = 9 ]となるので、
a = 1
∴ 0.9̊ = 1
無限大〈 ∞ 〉の怪物に立ち向かうためには、この魔法を納得する必要があるのでしょうか?
このまま、騙されたと思いつつも、極限の世界へ突入することになります。
微分からの円の接線の方程式
◈ 極限 (limit) の世界
極限というのは、いわば〈 ∞ 〉の一歩手前、〈 0 〉の一歩手前、を考える作業です。
今回は、微分の入門編を目的としていますので、〈 0 〉の一歩手前を考えることにします。
限りなく 0 に近づく値という場合、たいていは、プラスの数がイメージされているようです。
この極限について、座標の原点を中心とする円 O の、2 点間を結ぶ直線で考えてみます。
▣ 円周上の 2 点をそれぞれ、点 P (px, py) 、点 Q (qx, qy) とします。
円と交差する直線の傾きを計算することになります。
ふたつの点は、円周上の任意の場所にありますが、ふたつとも同じ位置の際には、2 点間の距離が限りなく 0 に近づいた状態であると、仮にみなしておきます。
そういう極限状態の際に、直線 PQ は円 O の接線になるのでした。
▣ P 座標の角度 ° ▣ Q 座標の角度 °
点 P ( |
px |
, |
py |
) |
P 座標 ( |
|
, |
|
) |
点 Q ( |
qx |
, |
qy |
) |
Q 座標 ( |
|
, |
|
) |
▶ 2 点間の平均変化率(直線の傾き)
(qy - py) ∕ (qx - px) =
◯ 円の接線(三角関数の微分)
● P と Q の座標の角度 = θ(度) として
[ sin x の微分は、(sin x)´ と記述される ]
● (sin θ )´ = cos θ
● (cos θ )´ = - sin θ
◈ P, Q の座標の値を (x, y) とするとき
▣ 接線の切片: y - ( - x ÷ y × x )
▣ = y + x2 ÷ y
◎ 円の方程式
⛞ x2 + y2 = r2
◎ 円の接線の方程式
▶ x2 + y2 = r2 より、
半径 r の円周上の座標を ( r*cosθ , r*sinθ ) とし、さらに
px = cosR = r*cosθ
py = sinR = r*sinθ
と記号化して、円周上の x 座標、y 座標を記述するとき、
接線の x , y 座標の方程式は、
▣ y = f (x) = - |
px |
x + py + |
px2 |
|
|
py |
py |
▣ f (x) = - |
cosR |
x + sinR + |
cosR2 |
|
|
sinR |
sinR |
= - |
cosR |
( x - cosR) + sinR |
|
sinR |
● ここで記号化した px , py , cosR, sinR は、それぞれ文字ごとには分割できない記号として用いています。
● また通常、混乱を避けるために px , py は、px , py のように、添え字で記述されるようです。
さて、極限の値を考えるには、まずグラフ座標の 2 点間の傾きを求めます。
これが、2 つの値の間の平均変化率になります。
最初に登場する記号は h で、これは 0 よりも大きい、とても小さな数を示しています。
この h は x の値の差 (difference) を表しているため、Δx とも書かれます。Δ (delta) はギリシャ文字で、このとき Δx は分割できない 1 つの記号として表現されており「デルタエックス」と読みます。
◈ 平均変化率は、
で表現され、さらに、[ y = f (x) ]を微分した関数は[ y´ = f ´(x) ]と書かれ、
という具合に、用いられる記号も、変わります。
◈ 微分で求められる関数は「
微分係数」といって、見た目も分数で、分数のように扱われることもあるようなのですけれど、実は分数ではないそうです。基本的にひとかたまりの記号として扱われて「ディーワイ・ディーエックス」、「ディーワイ・バイ・ディーエックス」もしくは「ディーエックス分のディーワイ」と読むことになっているようです。