暁の星 ― あかつきのほし ―(2015年12月28日月曜日)で、
黎明の子 〈 ベン・シャハル 〉
今年も年の瀬が見えて、ようよう『聖書』の「イザヤ書」第 14 章に辿りついた。
〈ルシファー伝説〉はここから始まる。
ここでラテン語〈ルーキフェル〉のもとになっているヘブライ語は、これまで見てきたように、「ヘレル・ベン・シャハル」ないしは「ベン・シャハル」である。「ヘレル」は「輝く」とか「栄光の」を表現する語であって、それがいわゆる「ハレルヤ」となるのだが、また同時に「狂った・愚かな」というような意味をあわせもつ。
このあたりを詳しく辞書で見るのは、年を越してからになるが、残りの「ベン・シャハル」で「黎明の子」を意味することは、今回、『新聖書大辞典』で確認した。
と、このように書いたのだが、今回、『新聖書大辞典』などで改めて確認したところによると、
表現に、若干語句が足らなかったことが、判明した。
――つまり、前回の記述には、辞書の見間違いによる勘違いがあったので、句を挿入・追加して、
完成形に近づけようという魂胆なのである。
■修正後
〈ルシファー伝説〉はここから始まる。
ここでラテン語〈ルーキフェル〉のもとになっているヘブライ語は、これまで見てきたように、「ヘレル・ベン・シャハル」ないしは「ベン・シャハル」である。「ヘレル」――すなわち、ヘブライ語「ヘーレール」は単に「輝くもの」を意味するに過ぎない(『新共同訳 旧約聖書注解Ⅱ』288 ページより)が、それによく似た語に「ハレル」があり、「ハレル」は「輝く」とか「栄光の」を表現する語であって、それがいわゆる「ハレルヤ」となるのだが、「ハレル」はまた同時に「狂った・愚かな」というような意味をあわせもつ。
なお、ヘブライ語「ヘーレール・ベン・シャハル」の「ヘーレール(輝く者)」と「ベン・シャハル(黎明の子)」は、ここでは併置とか等置の関係にあって、「輝ける者すなわち黎明の子」という表現であると思われる。
――さて、と。
気を取り直して、魔王〈ルシファー〉の誕生を迎えうとう。
これまでのあらすじによると、伝説の〈堕天使ルシファー〉の席は不在のままであった。
その席に座っていたのは、最初はあるいは〈堕天使アザゼル〉だったかも知れない。
俄 [にわ] かに浮上した〈ルシファー(ルーキフェル)〉という堕天使の名は、どこから現れたのか。
それを最初に記述したのが『諸原理について』をラテン語に翻訳したルフィヌスなのか、それともそれ以前からの慣用であったのか、はたまたそれはそのころの通常の翻訳語であっていわるゆる「時代」が〈ルーキフェル〉をそこに記録したのであったのか、そのことは未確認のままという現状だ。
わかっているのは、どうやら紀元 400 年前後にあいついで、ヒエロニムスもアウグスティヌスも、そこに〈堕天使ルーキフェル〉の姿をまざまざと見たらしいということだ。
ちなみに、グーグルブックスなどで確認したところによれば、ルフィヌスの『諸原理について』ラテン語訳の「イザヤ書」引用の該当箇所には、“Lucifer” と記述されているようである。
〈ルシファー伝説〉は、恐らくはここから始まる。
恐るべき、権威による思い込みと、それへの追従なのである。
Lucifer ― 魔王の誕生 ―
http://theendoftakechan.web.fc2.com/atDawn/Lucifer.html
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