すると、映像表現不可能な描写を編み出したくなってくる。
ということで、その一例が「輪郭をはみ出すデカいツラ」なわけだ。
誰の顔でもよかったのだが、ここは名のあるところで、口から出まかせいいたい放題しそうなサタンにモデルになってもらうことにした。
旧約聖書のあいだは、ただの化け物ごときに象徴されていた神の敵も、サタンと合体することで、人語を解し、発するようになる。
――すると、やにわに、例えば、新約聖書冒頭の「マタイ福音書」第 4 章で、さっそくイエスを試みはじめたりする。
サタンを拝めば、全世界の栄華すらも、イエスの思いのままだという。
サタンは、偽りの父であり、またこの世の王であるから、イエスに地上の権力を与えることも楽勝に可能なのだ。
なんだか、ここは嘘をついていないような気がするが、サタンにもある程度の説得力は必要なわけで……
そういう次第で、サタンの態度は、横柄とはいえないけれども、とにかくデカいのである。
そういう態度に対しては、一般に「大口をたたく」という。「大きな顔をする」ともいう。
そういうわけで、どんどん顔が大きくなっていくのである。
よくカタカナで書かれる「つら」、というのはそういう顔のことだが、漢字では「面」という字になる。
その理でことわざの「カエルのツラにションベン」を漢字で書くと、「蛙の面に小便」となる。
その一方で、サタンのツラはどんどん大きくなっていくのである。
デカいにもほどがあろうと、よく見れば、その外縁は明らかに枠をはみ出ていた。
輪郭からはみだしつつも機能する顔というのは、あるいはサタン特有の超常現象であろうやも……?
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