地は混沌であって、闇が深淵の面 (おもて) にあり、神の霊が水の面 (おもて) を動いていた。
で、もって、旧約聖書「創世記」第 1 章 21 節には、「第五の日」の仕事として次のようにある。
神は水に群がるもの、すなわち大きな怪物、うごめく生き物をそれぞれに、また、翼ある鳥をそれぞれに創造された。神はこれを見て、良しとされた。
そして聖書の《神》は、「第六の日」の仕事として、人を創造する。
だから、「第五の日」の 〈大きな怪物〉 は、人より先に造られている。
風の噂では、この 〈大きな怪物〉 が、かのホッブズの著作タイトルとしても名高い 〈リヴァイアサン〉 であるともいう。
その、もとのヘブライ語はここにはカタカナ表記するが、〈タンニーン〉 である。
〔〈タンニーン〉のヘブライ語はこちらのリンクを参照されたし『旧約聖書 ヘブル語大辞典』(p.1404) 〕
上の参照箇所(リンク)の引用を続いて見るなら、『新聖書大辞典』(p.1501) には、
「りゅう 龍 Dragon 」のヘブライ語は 〈タンニーン (tannin)〉 が該当し、
それが「七十人訳ギリシャ語聖書」などのギリシャ語訳では、〈δράκων (drakon)〉、
すなわち英語の 〈 Dragon 〉 なのだと、そのように記述されている、と私見する。
つまり、ヘブライ語 〈タンニーン〉 はギリシャ語 〈 drakon 〉 となり、それが英語の 〈 Dragon 〉 となった。
それを日本語訳では、〈龍〉 という。
そういうことであれば、〈龍〉は「第五の日」に創造されたといえるかもしれないが、もしかすると、この場合の〈タンニーン〉は〈海の巨獣〉という意味では、リアルに「鯨」を指すのかもしれない。
そして聖書では、「鯨」を表現するのに、「レビヤタン」すなわち〈リヴァイアサン〉を用いたりするようだ。
そういうことをつなげていけば、「鯨」という〈リヴァイアサン〉は、「第五の日」に創造されたといえよう。
しかしながら、次回に、そのあたりを辞書で詳しく見る予定なのだが、
聖書の「レビヤタン」は、〈リウィヤーターン〉のようなカタカナ表記になりそうなヘブライ語が、
別にちゃんとあるのである。
また「創世記」第 1 章 2 節にある 〈深淵〉 のヘブライ語 〈テホーム〉 は、
『エヌマ・エリシュ』 の 〈ティアマト〉 に関連するらしいが、それもただちに 〈リヴァイアサン〉 となるわけではない。
〈リヴァイアサン〉 は以前に見たように「ウガリット」の神話に由来するようだ。
――再度、しかしながら。実は、
今回は、そのことよりも、ヘブライ語 〈タンニーン〉 がギリシャ語 〈 drakon 〉 となったのなら、
新約聖書「ヨハネ黙示録」第 12 章 9 節にある、次の一文と関連づけて考えてみたかったのであった。
この巨大な竜、年を経た蛇、悪魔とかサタンとか呼ばれるもの、全人類を惑わす者は、投げ落とされた。
〔以上の聖書の引用文はすべて『新共同訳 聖書』によった〕
レビヤタンとラハブ 1
http://theendoftakechan.web.fc2.com/atDawn/Messias/Leviathan.html
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