「アッカド」の粘土板には、次のように、刻まれていた。
わたしが土を固めておいた下界の予定地に、
(もう一つ)神殿を、満ちたりた住いをわたしは造営したい。
そのなかに祭儀の場所をもうけ、
聖室をつくり、わたしの王権を末ながく堅固なものにしたい。
きみたち(下の神々)がアプスーから昇って(神々の)集会にくるとき、
そこはきみたち全部を受けいれる夜の安眠の場所となり、
きみたち(上の神々)が天から降りて(神々の)集会にくるとき、
そこはきみたち全部を受けいれる夜の安眠の場所となることだろう。
わたしは〔その〕名を〔バビロン〕《偉大な神々の家々》と命名したい。
〔『筑摩世界文學大系』 p.125 〕
これを一読して連想されたのは、あの「出雲大社」の〈神有月 [かみありづき] 〉の伝承である。
年に一度、全国から、神々が終結するための、あの巨大な神殿の物語だ。
その物語の主人公、大国主命 [おおくにぬしのみこと] は、別名を「オホナムチ」といい、
この名を意訳すれば「大蛇」となる。「海を渡って来る光る蛇」を神体として祀る、ともいう。
これだけで、もう、シュメールは日本神話の「ふるさと」ともなりかねない、勢いなのである。
ところがこのたびは、聖書をテーマにシュメールにまでさかのぼったものだから、
それどころではないのである。
驚愕すべきは、上掲本によれば、
「ウガリット」の粘土板には次のように、刻まれていた。
おまえは悪い蛇 レヴィアタンを打ちくだき
まがりくねる蛇を破った
七つ頭のシャリートを。
〔『筑摩世界文學大系』 p.298 〕
――で。『聖書』には、次のような記述があるのである。
その日、主は
厳しく、大きく、強い剣[つるぎ]をもって
逃げる蛇レビヤタン
曲がりくねる蛇レビヤタンを罰し
また海にいる竜を殺される。
〔『聖書 新共同訳』旧約聖書「イザヤ書」第 27 章 1 節〕
これはもう、似ている――近似性がある――、というようなレベルの話ではないのである。
Myths : バビロン ― 神の門 ―
http://theendoftakechan.web.fc2.com/atDawn/Messias/Babylon.html
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