2020年5月12日火曜日

ガウス平面の座標・複素数の演算

   虚数単位  i
 数学では、
▣  i 2 = - 1
∴  i = √ -1 
という数をイメージして、この i虚数単位といいます。
 さらに実数 a, b を用いて、
ab i
の形式で表現される数を複素数といい、特に、b ≠ 0 である場合には、虚数と呼ばれます。
 ◎ ab i の複素数で、a = 0 の場合には純虚数と呼ばれ、b = 0 である場合に、実数となります。
ab i を複素数という。
b ≠ 0 の場合、虚数という。
b i だけの場合、純虚数(a = 0)
a のみで、実数となる。(b = 0)

 ここで、基本の計算式で使われる用語の確認をしておきましょう。
 加え算(くわえざん)である足し算を「加算(かさん)」といい、引き算を「減算(げんざん)・減法」といって、掛け算を「乗算(じょうざん)・乗法」、割り算「除算(じょざん)・除法」といいます。
 そして、「加算(加え算)・減算(減法)・乗算(乗法)・除算(除法)」をまとめて「四則(しそく)」といい、または「加減乗除(かげんじょうじょ)」と呼びます。
 四則は、英語で “the four (fundamental) rules of arithmetic” となります。“fundamental” は、〝基本の・基礎の・根源の・根本的な〟という意味の英語で、“arithmetic” は〝算数・算術〟です。

   ガウス平面
  x 軸に実数を並べ、y 軸上に純虚数を並べた平面を、複素数平面複素平面)といい、また、ガウス平面とも呼ばれます。
 ⛞ 複素数の和(差はマイナスの和)
【ガウス平面での足し算】
◈ 実数 a, b, c, d 等と、虚数単位 i を組み合わせた計算式で、多くの場合に複素数は記号 z で表され、随時 w なども用いられます。
z  = ab i
w = cd i
● ここで zw を足した結果を z1 とすれば、次の式となります。
zw = z1 = zcd i
( z1 = acb id i )
 ◈ 複素数の和をガウス平面で表現すると、z1 z を実数(実軸)方向に c 、虚数(虚軸)方向に d の値だけ平行移動した値の座標を持つことになります。
a =     b = 
c =     d = 
 ⛞ 複素数の積・商  
  ▣   純虚数の値  =   i
(例)実数の 1 に同じ純虚数を繰り返し掛ける演算
◈ 元の複素数の座標を z (1, 0) = 1 + 0i とし、これに純虚数を演算した結果を、ガウス平面に描きます。
 その演算を 4 回繰り返すと、座標は 1 回転します。
 演算の 1 回ごとに、90 度の回転が加わるわけです。
 〔 ※ 商の計算値は “ ≒ ” で統一しました。〕
●  - i = 1  ∕  i
  ( ⇒ この計算の説明は演算式の下を参照のこと )
 ▣  演算 1 回目 :
  z1  = 1 × i = i
 ▣  演算 2 回目 :
  z2  = i × i = - 1
 ▣  演算 3 回目 :
  z3  = - 1 × i = - i
 ▣  演算 4 回目 :
  z4  = i × i = 1
 ●(説明文)  分数 [ 1  ∕  (2 i) ] は、分母と分子の両方に i を掛けると [ i  ∕  (2 i 2 ) = - i  ∕ 2 ] なので、
[ 1  ∕  (2 i) ] = [ - (1 ∕ 2) × i  ] と、なります。

 例によって、今回の JavaScript のスクリプトは、このページ内に同梱してあります。

2020年5月9日土曜日

対数螺旋・黄金螺旋・アルキメデスの螺旋

 昨日、動作不良を起こしたスクリプトは、来週公開予定のサイトでは、通常に動作するはずのものなのですが、この環境においては実際に不具合が認められましたので、少々仕様を改めた修正バージョンで、本日再挑戦します。
 昨日にも書いたことですが、方程式を調べて、JavaScript を使い作図しました。

 黄金螺旋がよく近似しているとされる対数螺旋 (logarithmic spiral) は、等角螺旋 (equiangular spiral) ともいわれ、また、自然曲線とも生命の曲線とも呼ばれます。

 ◯ 佐藤修一氏の『自然にひそむ数学』からポイントとなる解説を参照して、独自に、数値の操作可能な作図を試みます。

ブルーバックス B-1201 〔1998年01月20日 講談社/発行〕
『自然にひそむ数学』 〔佐藤修一/著〕
Ⅺ 自然の中のうず巻きとフィボナッチ数
 (p.226)
 アルキメデスのらせんは、「回転角 θ に比例して動径 r が増加する曲線」ですから、このらせん上の任意の点を P ( r , θ ) として極座標で表すと、a を定数として、
r = a θ
のようになります。
 (p.227)
 対数らせんでは、らせんの中心から引いた直線と接線がなす角度は半径とは関係なくつねに一定です。このことから、対数らせんは「等角らせん」とも言われます。
 (p.228)
 対数らせんは、違った部分を同じ角度だけ切り取ったとき、切り取られた 2 つの部分は大きさが違っても必ず相似形になるという不思議な性質をもっています。対数らせんのこの性質は「自己相似性」と言われます。
 (pp.229-230)
 ところで、対数らせんは、極方程式
r = a θ
を満たす曲線です。この曲線の極方程式は
r = a e
のように表現しなおすことができ、さらにこの方程式は
log r = θ log k
あるいは
log r = a θ
のような形に表現しなおすこともできます。この式からも明らかなように、対数らせんは「回転角 θ が動径の長さ r の対数値に比例する曲線」と言いなおすことができます。

⛞ 対数螺旋・黄金螺旋・アルキメデスの螺旋
対数螺旋】係数設定  r = a  ( e k θ )
 a =   k =   係数値を初期化する

◎ 螺旋選択:
アルキメデスの螺旋】極座標 ( r , θ ) において
r = θ
回転する対数螺旋】係数固定
a = 2.5 * 8 px = 20 px
k = 0.15

 今回の JavaScript のバージョンは、いつものようにこのページ内に同梱してあります。

 【翌 5月 10日:追記】
 エラーの原因が判明したので、本来の仕様に戻して、修正完了。

2020年5月8日金曜日

黄金螺旋に近似する対数螺旋の係数

 前回(とはいえ、もはや先月のことですが)、《黄金螺旋》は、《対数螺旋》にうまく近似しているといわれています、と書きました。
 では、その対数螺旋とはどのように描かれるのでしょうか?
 方程式を調べ、JavaScript を使って実際に作図してみました。

―― が、動作不良が確認されましたので、作図例の紹介は、日を改めることといたします。

2020年4月1日水曜日

黄金螺旋 と アルキメデスの螺旋

 フィボナッチ数列の各項を 1 辺の長さにもつ正方形は、下の図のようにうまく組み合わさります。その組み合わせた順序で、それぞれの正方形の 1 辺を半径とする 4 分の 1 の円弧を連続して描いていきます。
 比較すれば一目瞭然ですけれど、《黄金螺旋》は実際には足し算ながらも指数関数的に円が巨大化していくのですが、《アルキメデスの螺旋》は単純に足し算で円が拡大するわけです。

 ⛞ 黄金螺旋を描く正方形の面積の計算
 ◎  フィボナッチ数列 { Fn } の定理のひとつに、次のものがあります。
F12F22F32……Fn2 = Fn Fn +1
 この定理の証明は、数学的帰納法によって行われます。数学的帰納法というのは名称が紛らわしくて、実際のところ、通常の帰納法ではなく、演繹に近い方法で証明が行われます。
 手順としては、
  ① その定理が、自然数 n のときに成り立つと仮定する。
  ② その定理が自然数 n + 1 のときに成り立つかを確認する。
 ようするにその定理が、自然数 n のとき成り立つ際に、自然数 n + 1 の場合でも同時に成り立つならば、その定理はすべての自然数 n のときに成り立つと、数学的にみなされるわけです。

  この定理を図示すれば、
  第 9 項までで、次の通りとなります。
 【参考】〈フィボナッチ数列〉第 10 までの数値
       1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55
  塗り潰し等 ナシ
  第 1 項のみ ( 1 × 1 )
  第 2 項まで ( 1 × 2 )
  第 3 項まで ( 2 × 3 )
  第 4 項まで ( 3 × 5 )
  第 5 項まで ( 5 × 8 )
  第 6 項まで ( 8 × 13 )
  第 7 項まで ( 13 × 21 )
  第 8 項まで ( 21 × 34 )
  第 9 項まで ( 34 × 55 )
  ◎ 第 0 項までの 螺旋 描線選択 
(「螺旋 描線選択」に〝アルキメデス〟とあるのは、
 オプションとして《アルキメデスの螺旋》の見本です。)
  Archimedes spiral  :  r = θ (radian)

● このようにして描かれる《黄金螺旋》は、《対数螺旋》にうまく近似しているといわれています。
 《対数螺旋》は《等角螺旋》ともいわれ、自然界に観察される例としては「飛んで火に入る夏の虫」とか、前々回に見た、いわゆる「ヒマワリの種」(実は種ではなく花のほうが的確らしい)によって描かれる螺旋の形などが有名です。
◎ 対数螺旋への旅は今後の課題として、ここでは「黄金螺旋を描く正方形の面積」を計算しておきましょう。
 ◈ まず、前提として、
( 55 ÷ 34 )φ の近似値 [ 55 ÷ 34 =  ]
 なので、その形を見本として、図に示した長さの関係性から、計算を開始します。

 ▣ 四角形 ABCD が【黄金長方形】のとき、
AB : BP = BC : AB となるわけです。
 したがって、x = (φ - 1) として、演算すると、
1 : x = (x + 1) : 1 なので、
      1   =     (x + 1)  
   
  x   1
となり、この両辺に x を掛けて、
  1 = x2x
∴ x2x - 1 = 0
● この方程式を、2 次方程式[ ax2bxc = 0 ]の解、
  x =     - b ± √ b2 - 4ac    
 
2a
にあてはめて、正の解を求めれば、
  x =     - 1 + √ 12 + 4       =     - 1 + √ 5   
   
2 2
となり、これは黄金比の逆数に等しくなります。

 ► 黄金数の 2 乗(自乗)【前回の復習】
  φ2  =     (1 + √ 5 )2       =      1 + 2 √ 5  + 5  
   
22 4
    =     6 + 2 √ 5       =      3 + √ 5   
   
4 2
    = 1 +    1 + √ 5      =  
 
2

 ⛞ 黄金数の逆数
  φ-1 =    2    =      2 (√ 5  - 1)  
   
  1 + √ 5      (√ 5  + 1) (√ 5  - 1)  
  =     2 (√ 5  - 1)     =     √ 5  - 1     =     - 1 + √ 5   
     
5 - 1 2 2
  = - 1 +     1 + √ 5      =  
 
2
 ▶ 黄金数の逆数の 2 乗(自乗)
  φ-2  =      (- 1 + √ 5 )2      =      1 - 2 √ 5  + 5  
   
22 4
  =     6 - 2 √ 5       =      3 - √ 5      = 1 +    1 - √ 5   
     
4 2 2
  = 1 -    - 1 + √ 5      = 
 
2

―― 例により先月分(の残り部分)を含む、
コピペしてそのまま使える、JavaScript の見本をテキスト化して掲載したページを、以下のサイトで公開しています。

JavaScript: 黄金比 φ と黄金螺旋
http://theendoftakechan.web.fc2.com/eII/hitsuge/arcus/calculus.html

2020年3月27日金曜日

白銀長方形と黄金長方形

 フィボナッチ数列の数を、その項の前の数で割ると、多少揺れ動きながら、項のナンバーが大きくなるにつれ黄金比に近づいていきます。
 このことは、数学的に正しいと立証されていることです。
 また「多少揺れ動きながら」というのは、黄金比の値の上下を往復しながら、という現象を表現したつもりです。
 この下にサンプルプログラムを用意していますので、〝 Fibonacci 数列 〟の値を変更して、確かめてみてください。

 さて、といったところで。
 黄金比の話題でしばしば一緒に登場するのが、白銀比です。

黄金比の約 1.618 に対して、
白銀比は √2 ≒ 1.414 であると語られています。

しかしながら、黄金長方形と並べて作図する白銀長方形の場合、
白銀比は 1+√2 ≒ 2.414 の比率になります。

これは 黄金比・白銀比・青銅比と、続いて定式化されている
いわゆる《貴金属比》の比率が用いられているためです。

 こうなってくると、白銀比に 1 を足すと同じ名前の白銀比になってしまって、とても不都合なわけです。
 √2 の白銀比は〈大和比〉の名称でも呼ばれているようですので、そっちの呼び名のほうが混乱が少なくていいかもしれませんね。

 A 判と B 判のコピー用紙の縦横は、この〈大和比〉の比率になっています。
(ちなみにこの規格の長方形は、諸外国では √2 長方形と呼ばれているようです。)

⛞ フィボナッチ数列の計算
Fibonacci 数列 n n + 1
n = 
⛞ フィボナッチ数列の分数計算
    = 
 
⛞ 黄金比の方程式の解の数値
❖  φ =     1 + √ 5      = 
 
2
方程式の解
● 黄金比の方程式[ x2x - 1 = 0 ]を、
   2 次方程式[ ax2bxc = 0 ]の解、
  x =     - b ± √ b2 - 4ac    
 
2a
 にあてはめて解くと、
  x =     1 ± √ 12 + 4       =     1 ± √ 5   
   
2 2
 なので、そのプラスの値を解とする。
  x =     1 + √ 5   
 
2
⛞ 白銀比・青銅比の計算
❖ 白銀比  =     2 + √ 8      = 
 
2
❖ 青銅比 =     3 + √ 13      = 
 
2
方程式の解
● 白銀比の方程式[ x2 - 2x - 1 = 0 ]の解。
  x =     2 ± √ 22 + 4       =     2 ± √ 8      =  1 ± √ 2  
   
2 2
● 青銅比の方程式[ x2 - 3x - 1 = 0 ]の解。
  x =     3 ± √ 32 + 4       =     3 ± √ 13   
   
2 2

 白銀長方形と黄金長方形
 ◈  白銀長方形は正方形の 1 辺に対し、正方形の対角線の長さを加えて、長方形の 1 辺を構成する。
 ◈  黄金長方形の特徴の 1 つとして、下の図のような組み合わせで描くときには、横長の長方形の対角線延長上に、縦長の長方形の頂点の 1 つが位置する。
φ  =     1 + √ 5      = 
 
2
 ▣  ∠ABC = ∠BCD
 ▣  1  :  ( φ - 1 )  = ( φ + 1 )  :  φ
1   =     ( φ + 1 )  
   
  ( φ - 1 )   φ
   φ  = ( φ + 1 ) ( φ - 1 )
 ∴  φ  =  φ2 - 1

 【 φ = φ2 - 1 】の 検算のための演算例
φ2   =      ( 1 + √ 5  )2     =      1 + 2 √ 5  + 5  
   
22 4
    =      3 + √ 5        =   1 +     1 + √ 5   
   
2 2

2020年3月23日月曜日

フィボナッチ数列とヒマワリの種の螺旋

  ●   数列というのは、ようするに数を並べたものです。
 ◯  普通は、何らかの規則にしたがって並べられた数列を扱いますけれども、規則的でない数列もあります。
 ✥ フィボナッチ数列の計算
 数列は基本的に { an } という記号で表されて、このとき an を数列の一般項といいます。
● 数列の項を、
先頭から順に初項(第 1 項)、第 2 項、第 3 項、…… といい、
先頭から n 番目の項が n となります。
 自然数の集合は数列として、
1, 2, 3, 4, 5, 6, ……
と、書けるので an = n となります。
◎ 偶数は自然数を n として n × 2 なので、
偶数の数列の一般項は an = 2n となり、
すると奇数では、数列の一般項は an = 2n - 1 と、なるわけですね。
 自然数や偶数とか奇数といった、項の個数が無限にある数列を《無限数列》といい、項の個数が有限な数列を《有限数列》といいます。
 有限数列では特に、項の数が値として決まるので《項数》が定まって、また《末項》といわれる最後の項が存在することになります。
● 有名な数列に〈フィボナッチ数列〉があります。
a1 = 1
a2 = 1
an = an - 2an - 1 ( n = 3, 4, 5, ……)
⛞ フィボナッチ数列の定義
F1  =  F2  =  1, Fn+1  =  FnFn-1 (n ≧ 2)
⛞ ビネの公式
Fn =   1 { (   1 + √ 5   ) n  -  (   1 - √ 5   ) }
         
 √ 5  2 2
ひとまずこの〈フィボナッチ数列〉の第 10 項までと、
続けて第 11 項から第 20 項までを、順に書いてみましょう。
1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55
89, 144, 233, 377, 610, 987, 1597, 2584, 4181, 6765
ついでに、第 53 項までを JavaScript で表示可能にしておきます。
     n = 
n
n + 1
n + 2
n + 3

 ◈ この数列は自然界でも、ヒマワリの種の並び方などに現れていて、『ひまわりの黄金比』という本にそのことが詳しく紹介されています。

『ひまわりの黄金比』
形の科学への入門
根岸利一郎[ねぎし・りいちろう]/著
2016年04月20日 日本評論社/発行
1.3 連なりらせん
 (p.8)
 ヒマワリの花は、種がらせん状に連なっている。これを「連なりらせん」という。
2.1 ヒマワリらせんを真似る
 (pp.14-15)
 種の位置を円座標で表示するために、動径 r と偏角 θ[シータ]を決める。ヒマワリの花が円盤状に成長し、茎からの養分流入量 n が一定の厚さ d の円盤状に成長して半径 r になったとすれば、その花の体積 dπr2 は流入量 n に等しい。だから、もし厚さが成長に伴って変化しないなら、半径 r n1/2 に比例する。ヒマワリの種を点として描く場合、その最初の位置は、この比例定数を 1 とすれば中心からの距離が r1 = 11/2 、円の中心から見た種と種の間の中心角である開度を φ[ファイ]とすれば偏角 θ φ の位置に決まる。だから、その位置は (11/2 , φ ) になる。2 番目の点は (21/2 , 2φ ) 、その次は (31/2 , 3φ ) 、…、そして n 番目は (n1/2 , nφ ) となる。実際のヒマワリの種が n 個付くなら、最初に生まれるのがこの n 番目であり、最後が 1 番目であって上で見た順番とは逆になる。逆でも位置の描画結果は変わらないので簡単のためにこの表記にしてある。φ としては円周 360° を黄金比 τ[タウ]に分割する角度として 360° × (1 - 1/τ ) = 137.50 ° が多く使われる。この角度は黄金角(フィボナッチ角とも言う)と呼ばれる。ここでもこの角度から始めてみよう。たとえば、n200, 1000, 2000, 5000 としてそれぞれを描くと図 2.4〔図は省略〕のようにほぼ一様に充填 1) される。ヒマワリでは種のできる花の原基が頭状花中央の微小半径 r0 周辺に順に出来て成長するが、ここでは簡単のためにこの r0 を無視している。Excel を使って描けるので、補足 A や文献 [19] を参照してほしい。
 描画した各点はらせん状に連なっているので、数えやすい連なりの本数を周辺部に沿って数える。n = 200 のときは 21 本と 34 本が目立つ、これを 21 ∕ 34 と書こう。n 1000 では 34 本と 55 本が目立つが、よく見ると 21 本も見える。だから 21 ∕ 34 ∕ 55 となり、この連なりらせんの本数 21 ∕ 34 はこの章の冒頭で数えた枝に咲く小さなヒマワリのらせん数に一致する。

1) 「充填」は平面での並びに隙間を許す並び方。ちなみに「敷き詰め」は隙間がなく、「被覆」は重なりを許す [20]
[19] Negishi, R. and Sekiguchi, K., Pixel-Filling by using Fibonacci Spiral, FORMA, 22, pp.207‑215 (2007)
[20] 形の科学会編集『形の科学百科事典』、朝倉書店 (2013)

 ✥ ヒマワリの種のらせん
 『ひまわりの黄金比』「補足 A の解説に基づく作図
 【省略した図のうち n = 200 のらせん図】
  数をカウントするらせんの向き
   : 外側から中心へ向かって  右旋回
  描画されたポイント(点)のデータの順番を


2020年3月19日木曜日

n 次関数のグラフの接線の方程式

  k · x3 の微分
 ◎ y = kx3 の微分は、定数倍の関数を微分する方法を利用します。
▣ y = kx3 = k f (x)
▣ y´ = { k f (x)´ } = k f ´(x) = 3kx2
  ax2bxc の微分
 ◎ 足し算や引き算のある関数の微分は、それぞれの関数を微分する方法を利用します。
▣ y = f (x) + g (x)
▣ y´ = { f (x) + g (x) }´ = f ´(x) + g ´(x)

▣ y = f (x) - g (x)
▣ y´ = { f (x) - g (x) }´ = f ´(x) - g ´(x)

▣ y = bx
▣ y´ = b

▣ y = c
▣ y´ = 0

 というわけで、方程式に足し算や引き算が含まれる場合には、それぞれの項を微分してから足し算や引き算をすればよい、という微分のルールが適用されるのです。
 ▣  なので、たとえば、それぞれの関数が、
  ◍  f (x) = ax2
  ◍  g (x) = bx
  ◍  c (x) = c
であるとき、
▣ y = ax2bxc
の微分は、
● y´ = f ´(x) + g ´(x) + c ´(x)
◍  f ´(x) = 2ax
◍  g ´(x) = b
◍  c ´(x) = 0
として、次の計算をすればよいわけです。
● y´ = 2axb
◈ 同様に、3 次方程式
▣ y = ax3bx2cxd
の場合には、
● y´ = 3ax2 + 2bxc
という具合になります。

 f (x)  =   × x4 × x3 × x2 × x
  ● x =     ● y = f (x) = 

⛞ 接線 [ τ ] の座標点を P ( px px ) とする ⛞
 ◈  px = 
 ◈  py = 
⛞ 接線の方程式 /  切片 : [ c = bm a ] ⛞
 ◈  py = m (pxa) + b
a = x = 
● b = y = 
● m = y´ = f ´(x) = 
●  c = 

  n 次関数のグラフの接線の方程式(まとめ)
✤ 3 次関数 [ y = ax3bx2cxd ] の 導関数
●  y´ = f ´(a) = 3ax2 + 2bxc
✤ 4 次関数 [ y = kx4ax3bx2cxd ] の 導関数
●  y´ = f ´(a) = 4kx3 + 3ax2 + 2bxc
⛞ n 次関数[ y = f (a) ]の 接線の傾き m の 関数
▣  m = y´ = f ´(a)
⛞ n 次関数が描く曲線の接線の方程式[ y  =  m xc ]の演算
〔※ 曲線と接線が共有する x ,  y 座標を それぞれ a ,  b とする〕
✥  y = m xc
▣  a  =  a
▣  b  =  f (a)
▣  m =  f ´(a)
▣  c  =  bma  =  f (a) - f ´(a) a
∴  y = f ´(a) xf (a) - f ´(a) a

✥  y = m (xa) + b
✥  y = f ´(a) (xa) + f (a)
●  y = f ´(a) xf ´(a) af (a)

―― 例により前回分を含む、コピペしてそのまま使える、JavaScript の見本をテキスト化して掲載したページを、以下のサイトで公開しています。

JavaScript: n 次曲線の接線
http://theendoftakechan.web.fc2.com/eII/hitsuge/arcus/tangent.html