2020年6月16日火曜日

曲線の弧の長さを計算する積分

 曲線の弧の長さは〈弧長〉と呼称されるようです。
 この長さを求めるための積分の方程式があります。
 このたびは、可能な範囲で、その計算式について確認しておきましょう。

◯ axb もしくは a < x < b を満たす x の集合について
数直線上の線分で表される範囲で、
両端の点を含むものを
 閉区間 (closed interval) といって [ a, b ] で表し、
両端の点を含まないものを
 開区間 (open interval) といって ( a, b ) で表します。
◎ 曲線 y = f (x) の長さは微小区間 [ x, x+dx ] に挟まれた曲線の長さの総和と考えられます。
L =  
 
     dx
b  1 + (  dy  )
 
     
a  dx 
   =  
 
b
 √ 1 + ( f ´(x)) 2  dx
 
a
【証明】
 上の図において、まず曲線 AB の長さ s は、[ a, b ] が非常に短い区間 (interval) であるなら、線分 AB の長さによって近似されると考えられます。
s ≒ AB = √ (⊿x) 2 + (⊿y) 2 
 そうして曲線全体は、非常に短い線分を次々に結んだ折れ線の長さで近似できると、考えられるのです。
 曲線の長さは、そのような折れ線の長さの極限と考えられます。
 いま求めようとする曲線の長さ s を、折れ線の長さの極限で計算すると、次のようになります。
●  ds = √ (dx) 2 + (dy) 2 
 この計算式を、積分できる式にするため、dx をルート記号の外に出します。
ds = √ (dx) 2 + (dy) 2 
  = √ (dx) 2 {1 + (dy) 2 ∕ (dx) 2
 =        dx = √ 1 + ( f ´(x)) 2  dx
 1 + (  dy  )
     
 dx 
 したがって、曲線 y = f (x) (axb) の長さ s は、次の式で求められます。
s  =   
 
b
 √ 1 + ( f ´(x)) 2  dx
 
a
 ▣ 同様の手順で、s L に変更すれば次の式が成り立ちます。
L  =   
 
b
 √ 1 + ( f ´(x)) 2  dx
 
a
  区間 [ a, b ]積分区間といい、また下端 a と上端 b の大小関係は
a < b ,  a = b ,  a > b
 の、いずれでもよいことになっています。
 ⛞ 媒介変数表示された関数の曲線の長さの公式
▶ 媒介変数表示の曲線[ x = f (t) , y = g (t) (atb) ]の長さ L は、次の式で求められます。
 
 
 
L =  b   (  dx  ) 2  +(  dy  ) 2   dt
 
       
a  dt   dt 
  =  b  √ ( f ´(t)) 2 + ( g´(t)) 2  dt
 
a
【公式の検証方法】
 媒介変数 t の変化量を t として、その間の、曲線の平均変化量は次のように求められました。
 ⊿x    =     f (t + ⊿t) -f (t
   
 ⊿t   t
 ⊿y    =     g (t + ⊿t) -f (t
   
 ⊿t   t
 ◈ 考え方として、この曲線の変化量は次のように計算されるのでした。
▶  ⊿x = f (t + ⊿t) -f (t)
▶  ⊿y = g (t + ⊿t) -g (t)
 この変化量がわずかであるなら、その間の曲線の長さs は、次のように近似されると考えられます。
s ≒ √ (⊿x) 2 + (⊿y) 2 
    = √ (⊿t) 2 { (⊿x) 2 ∕ (⊿t) 2 + (⊿y) 2 ∕ (⊿t) 2
 
 
 
s ≒     (  ⊿x  ) 2  +(  ⊿y  ) 2   ⊿t
     
 ⊿t   ⊿t 
 ◈ そして極限の値 ds が、曲線の長さの増分として考えられるのです。
 dx    = f ´(t)
 
 dt  
 dy    = g´(t)
 
 dt  
なので、
●  dx = f ´(t) dt
●  dy = g´(t) dt
であるから、極限の値 ds の計算式は、次のようになります。
●  ds = √ (dx) 2 + (dy) 2 
      = √ { f ´(t) dt } 2 + { g´(t) dt } 2 
      = √ { f ´(t) } 2 + { g´(t) } 2  dt
 ▣ この極限の値の総和が、曲線の長さと考えられるわけです。
 
 
 
L =  b   (  dx  ) 2  + (  dy  ) 2   dt
 
       
a  dt   dt 
  =  b  √ ( f ´(t)) 2 + ( g´(t)) 2  dt
 
a
 ⛞ 円周の長さの計算
L  =   
 
b
 √ ( f ´(t)) 2 + ( g´(t)) 2  dt
 
a
    の公式を使って、計算します。
●  x 2y 2 = r 2
 ▣  x = f ( θ ) = r cosθ
 ▣  y = g ( θ ) = r sinθ
 ▣  x´ = ( r cosθ )´ = -r sinθ
 ▣  y´ = ( r sinθ )´ = r cosθ
  y ≧ 0 となる、半円の長さを計算して、2 倍します。
  ▣  sin π = 0
  ▣  cos π = - 1
L  = 2 
 
π
 √ (-r sinθ ) 2 + ( r cosθ ) 2 
 
0
  = 2 
 
π
 r dθ
 
0
  = 2 [ r θ ] π   = 2 ( r π - 0) = 2 πr
0

 今回も同様に JavaScript によるプログラムを、このページ内に同梱しています。

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