稼働する二次元模型へのささやかな第一歩として、ウエブ版〈太陽曲線図〉をめざしました。
◎ 日影曲線 (sun shadow curve) は 日照に関する話題に出てきます
《日影曲線》を作図する
⍊ 水平面に鉛直に立てた棒の影(影の先端部分の位置)が描く、軌跡の集まりを《日影曲線》といいます。
☀ 日影曲線の軌道は、年間を通じて、季節別に表されます。
〔 ※ 鉛直(えんちょく)というのは、物体を吊り下げた糸の示す方向の直線 ―― つまり鉛直線の方向(=重力の方向)で、水平面と垂直をなす、と説明されます。〕
⦽ ただし、太陽の南中時刻は、経度によって異なることになるのです。
⦴ 太陽が南回帰線の上空で 1 回転する〈冬至〉を過ぎてから、1 年が始まります。
⦳ その後、赤道の空をめぐっていく〈春分〉を経て、やがて北回帰線の上で 1 回転する〈夏至〉の季節となり、ふたたび赤道上空を移動する〈秋分〉を過ぎて〈冬至〉に回帰するまでの、日影の軌跡を描きましょう。
〔 東経データ 〕
那覇 127° 40′ , 福岡 130° 24′ , 鳥取 134° 14′ , 明石 135° 00′ ,
名古屋 136° 55′ , 東京 139° 44′ , 札幌 141° 21′ , 根室 145° 35′
那覇 127° 40′ , 福岡 130° 24′ , 鳥取 134° 14′ , 明石 135° 00′ ,
名古屋 136° 55′ , 東京 139° 44′ , 札幌 141° 21′ , 根室 145° 35′
出 | 南中 | 入 |
---|---|---|
H 時 M 分 | H 時 M 分 S 秒 | H 時 M 分 |
〔 ※ 東京の南中時刻は単純計算で 11 時 41 分 4 秒から均時差を引いた値になる。〕
太陽の南中高度 | 太陽高度 | 太陽方位角 | 均時差 |
---|---|---|---|
SH ° | h ° | A ° | M 分 S 秒 |
地域時差: | +0 分 0 秒 |
北緯: | N ° | 図の拡大率: | Z | |||
日付: | M 月 D 日 | H | 時 | M | 分 |
太陽高度 (h) : | asinH ° | |
太陽方位角 (A) : | acosA ° | |
時角 (t) : | degrees (time: hour angle) ° |
正午の真太陽時 (T) : | H 時 (apparent solar time) M 分 S 秒 |
太陽赤緯 (δ) : | δ (delta: declination of the sun) ° |
均時差 (e) : | equation ° |
[ gold ] | [ yellow ] | |||
[ darkgreen ] | 6 月 22 日(夏至) | |||
[ olivedrab ] | [ yellowgreen ] | 7 月 23 日 / 8 月 23 日 | ||
[ darkslateblue ] | 10 月 23 日 / 11 月 22 日 | |||
12 月 22 日(冬至) | ||||
〔 ※ どういうわけだか、ときおり(とある北緯の特定の日付で)、南中時の太陽が図中から消えてしまうことがありますが …… 〕
(この角度の数字は、真東を 0 度として、北をプラス、南をマイナスとする表示となっています。)
✡ 日影の座標 [ 影の向き ( a )・影の長さ ( len ) ]
太陽高度 (h): [計算サンプル] |
◎ 太陽高度 : 80 ° | / 太陽方位角 (A) : A ° |
影の向き (a)
a = A + 180°
影の長さ ( len )
tan h = | Len |
len |
∴ tan ( 90° - h )
= | 1 | = | len | = | len | = len |
tan h | Len | 1 |
影の座標 (x, y)
x = len × sin A
y = len × cos A
〔 ※ 赤道面を基準にした球面座標を「赤道座標」という。赤道を緯度 0° として、北緯を + とし、南緯を - として、〝赤緯〟と呼んでいる。見た目の赤緯を〝視赤緯〟と呼ぶ。〕
✥ 太陽赤緯・日赤緯 (declination of the sun)
太陽の赤緯は〝日赤緯〟ともいわれる角度で、〈夏至〉と〈冬至〉のときにはそれぞれ
〔 ※ 下に掲載したデータを見ると、2019 年の 6 月 22 日(夏至)の視赤緯は、+23 度 26 分 07 秒 (23.435°) で、12 月 22 日(冬至)の視赤緯は -23 度 26 分 09 秒 (-23.436°) であり、3 月 21 日(春分)の視赤緯は、+00 度 02 分 01 秒 (0.034°) で、9 月 23 日(秋分)の視赤緯は +00 度 07 分 37 秒 (0.127°) と、なっています。〕
✥ 太陽高度 (solar altitude)
「地平線と太陽とのなす角」で、日の出・日没時は太陽高度が 0° となります。
✥ 太陽方位角 (solar azimuth)
「真南と太陽とのなす角」で、真南は 0° 、真東は -90° 、真西は 90° となります。
✥ 真太陽時 (apparent solar time)
太陽位置と対応する時間のこと。基準地点からの経度のずれによる観測地点の時刻のずれ(平均太陽時)と、均時差を補正したもの。
✥ 平均太陽時 (mean solar time)
基準地点と観測地点の太陽位置のずれを時間に換算して補正した時刻表示。場所による時刻の違いは、地球の 1 回転を 24 時間とすれば、360 ÷ 24 = 15 なので、 1 時間あたりの自転角(自転の回転角度)は 15 度となります。したがって計算式は、( L - Ls ) ÷ 15 で 1 時間を単位とする数値。
✥ 中央標準時 (standard time)
基準地点の平均太陽時。日本標準時 (Japanese standard time : JST) は、兵庫県明石市の東経 135° を用います(日本時間は世界時間 (universal time) に、 135 ÷ 15 = 9 時間プラス)。
✥ 均時差 (equation of time)
平均自転時間( 24 時間)と観測時の自転時間との差を〝均時差〟といいます。公転軌道上の位置により 1 日の自転時間は異なるので、影の計算に用いる太陽時間は、中央標準時に対しての補正値が必要となるのです。
✥ 時角 (hour angle)
真太陽時 12 時の正中時(正午)を 0° としたとき、真太陽時 (T ) を角度に換算した値のこと。子午線が基準線となって西向きに時間の単位で測ります。正午までは、マイナス表示となります。
〔 ※ 太陽方位角(真南と太陽とのなす角)でも、真南を基準として、時計回りの西がプラスで、東向きをマイナスの角度で表示するとされています。〕
✡ 真太陽時 = 対象地点の平均太陽時 + 均時差
= 中央標準時 + | 対象地点の経度 - 基準地点の経度 |
15 |
∴ T = Tm + e = Ts + | L - Ls | + e |
15 |
記号の意味と単位
T : | 真太陽時[時] |
Tm : | 対象地点の平均太陽時[時] |
Ts : | 中央標準時[時] |
L : | 対象地点の経度[° ] |
Ls : | 基準地点の経度[° ](日本標準時の経度は Ls = 135) |
e : | 均時差[時] |
✡ 太陽高度と太陽方位角の公式
sin h = sin φ sin δ + cos φ cos δ cos t
cos A = | sin h sin φ - sin δ |
cos h cos φ |
h : | 太陽高度[° ] |
A : | 太陽方位角[° ] |
φ : | 緯度[° ] |
δ : | 太陽赤緯[° ] |
t : | 時角[° ]( = (T - 12) × 15 ) |
◈ いくつかの資料には、太陽位置図を作図するための、次の公式が掲載されています。
シリーズ〈建築工学〉8
『光と音の建築環境工学』小林茂雄(他)/著
2018年09月01日 朝倉書店/発行 (pp. 38-40)
sin h = sin φ sin δ + cos φ cos δ cos t
sin A = | cos δ sin t |
cos h |
cos A = | sin h sin φ - sin δ |
cos h cos φ |
① sin A > 0 かつ cos A < 0 のとき、
② sin A < 0 かつ cos A < 0 のとき、
③ ①②以外のとき、
A = tan-1 ( | sin A | ) + 180 |
cos A |
A = tan-1 ( | sin A | ) - 180 |
cos A |
A = tan-1 ( | sin A | ) |
cos A |
『理科年表 2019』
6. この年表で使われている東京の経緯度(世界測地系) | ||||
日本経緯度原点(東京都港区麻布台 2 丁目 18 番 1 ) | ||||
東経 | 139° | 44′ | 28″.8869 | |
北緯 | 35° | 39′ | 29″.1572 |
暦4 (4)
|
|||||
1 | 世 界 時 0h | 東京、中央標準時 | |||
---|---|---|---|---|---|
月 | 視 赤 緯 | 均 時 差 | 出 | 南 中 | 入 |
日 | ° ′ ″ | m s | h m | h m s | h m |
1 | -23 02 20 | -03 12.0 | 6 50 | 11 44 17 | 16 38 |
2 | |||||
3 | |||||
4 | |||||
5 | |||||
6 | |||||
7 | |||||
8 | |||||
9 | |||||
10 | |||||
11 | -21 52 44 | -07 37.7 | 6 51 | 11 48 43 | 16 47 |
12 | |||||
13 | |||||
14 | |||||
15 | |||||
16 | |||||
17 | |||||
18 | |||||
19 | |||||
20 | |||||
21 | -20 00 40 | -11 05.4 | 6 48 | 11 52 10 | 16 56 |
22 | |||||
23 | |||||
24 | |||||
25 | |||||
26 | |||||
27 | |||||
28 | |||||
29 | |||||
30 | |||||
31 |
✥ 各地域の、南中時刻の計算方法(東京を例に):
そこでまず最初に、明石と、どれだけ経度(東経)が違うかを確認します。
東京の東経は、139° 44′ 28″.8869 と、理科年表に載っています。
地球の 1 周は 360 度なので、太陽は 1 時間あたり、 15 度だけ東から西向きに移動します。
360° ÷ 24 = 15°
では、東京から明石の東経を引いた、4 度 44 分を太陽が移動するのにかかる時間は、どれくらいなのでしょうか。
※ ここで、東経の 44 分と同じ文字を使った、それとは違う単位の、1 時間が 60 分であることが、混乱と間違いの原因となりかねません。気をつけましょう。
つまり、1 度移動するのに、時間にして 4 分かかるということになるわけです。
60 ÷ 15 = 4
⌨ さてここからいよいよ、実際の移動時間の計算になります。
4 × 4 = 16
それでは、角度の 44 分を移動するのにかかる時間は、どれほどでしょうか。角度は、時間と同じように 60 分で、ひとつ上の単位の 1 度になります。
つまり、角度の 1 分は、 60 分の 1 度なのです。
すると、角度の 60 分の 44 度を移動するのにかかる時間は、1 度あたりにかかる時間の 4 分に対して、 60 分の 44 度を掛ければよいことがわかります。
この計算に 60 を掛けると、時間にして何分かかるかに替わって、何秒かかるかが計算できます。
さっきの計算と同じようにして計算します。そうすると、太陽の移動に必要な時間は、1 度あたりの時間が 4 分なので、 1 度あたりの時間は 240 秒になるというわけです。
4 × 60 = 240
◎ ですから、計算としては 240 秒に 60 分の 44 度を掛ければよいことになります。
240 × 44 ÷ 60 = 10560 ÷ 60 = 176
※ この計算は、もっと簡単にできます。
※ つまり、はじめに 60 を掛けるのをやめたら、あとの 60 で割るのも、必要なくなるのですね。
※ つまり、はじめに 60 を掛けるのをやめたら、あとの 60 で割るのも、必要なくなるのですね。
4 × 44 = 176
176 秒は、 120 秒と 56 秒に分けて、 2 分 56 秒になります。これに、最初の 16 分を合わせて、 18 分 56 秒になります。
ですから、東京は、明石よりも 18 分 56 秒早く、太陽が南中する計算になります。
Google サイト で、本日、前回の引用文献を参照できるページを公開しました。
古代の測量事情
https://sites.google.com/view/hitsuge/arcus/surveying
――「簡単な日時計の作り方」以来のプログラムを合わせて掲載し、部分的にもう少し詳しくしたページを、以下のサイトで公開しています。
日影曲線: 古代の測量事情
http://theendoftakechan.web.fc2.com/eII/hitsuge/surveying.html
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