2019年7月4日木曜日

棒と紐で北の方位を求める方法

 さて前回、先月の末に日時計の作成方法について述べたのですけれど、そこでは日時計の影を作る棒を〈天の北極〉に向ける必要がありました。

 その前段階としては、文字盤の正午を真下に向け、その棒に対して直角に組み合わせるという工程があったのですが、地面に対して垂直の方向というのは鉛直といいまして、【鉛直線】は辞書に「重力の方向、すなわち物体を吊り下げた糸の示す方向の直線。水平面と垂直をなす。」と説明されています。

 そういうわけで簡単な日時計の作り方〟に書いた、「太陽がちょうど真上に来た時には、太陽と棒と影の関係は、地面と垂直方向になるので、文字盤は正午の 12 時を、真下に向けて設置します。」というときの地面に対して垂直というのは、正しくは水平面に対して垂直であることがわかります。
 そしてその方向は、紐の先に錘(重り・おもり)をつけて、手に持ってぶら下げてみればすぐにわかるという仕掛けになっているのです。
 では次に「そのように作成した文字盤と、天の北極を指して設置する棒とを、きっちり組み合わせる必要があります。」という際の天の北極を指して設置する棒の向きは、どうすれば〝簡単〟にわかるというのでしょうか。

棒と紐と太陽があれば北がわかる


 そういうときのためにあらかじめ、手ごろな〝棒(ぼう)と紐(ひも)〟を、別に用意しておく必要があります。
 両手を拡げた長さほどの紐(太い糸や細い布など)の両端に、それぞれ短い木をくくりつけて、両方の木を持ち紐をピンと張ります。
 紐が長すぎてピンと張ることができないときには,ほかの誰かに手伝ってもらいましょう。

 土の地面のある水平面というのは、学校の校庭のようなイメージを思い浮かべてもらえばじゅうぶんです。
 そこに場所を定めたなら、とある晴れた日の早朝に出かけていき、片方の木を地面に突き刺し、紐の長さを半径にしてコンパスで描くように、もう片方の木を使って、地面に円を書きます。
 紐をピンと張ったままくるりと一周うまくできないときには,誰かほかのひとに手伝ってもらいましょう。

 それから紐の先を地面に垂らして、鉛直方向を求め、1~2メートルほどの長さの木を、その円の中心に垂直に突き刺します。
 突き刺す棒の長さは、もっと手ごろに、50センチ程度でも構いません。
 それから太陽が昇っていくにつれて、棒の影の先が地面に描いた円周(円の線)の上と同じになって重なった場所に、第一の〝印し〟をつけておきます。
 円の半径があまり大きいと、棒の影と円周とがクロス(こうさ・交差)しなくなるので、うまくいきません。
 用意する紐の長さは、自分の影よりも短いほうがよいのです。

 それから、午後の太陽が沈んでいくと、もう一度、棒の影の長さが円の半径(円周の上・円の線)と一致する時間がやってきますので、そこに第二の〝印し〟をつけてから、両方の印のあいだに紐をピンと張ります。
 それが、東西の方向になっています。なぜなら、太陽は東から昇っていくにしたがって南の方向へと移動して、真南でもっとも高く昇って、それから西の方向へ沈んでいくとき、太陽の道であるその軌跡(きせき・進む道・ルート)は、東西で対称になっているという、太陽の習性があるからなのです。
 ですから、棒の影の長さとその方向にもまた、東西で対称形になっているという性質があるわけなのです。
 そのとき〝印し〟の間にピンと張った紐がどれほどまで正しい東西の方向を示しているかというと、作業がどれだけ正しく行われたかによるという、結果次第なのです。
 そこには、棒を立てた、つまり影の描かれた地面がどんだけたいらで、かつ水平であったか、にも気をつける必要がでてくるのです。
 ですから簡単な日時計の作り方の作業内容は、あちこち気を配ったうえで、ある程度簡単なものにとどめておきましょう。






⍒ 下の図で、2 つの線 AO, BO に挟まれた ∠AOB を二等分する、角の二等分線を引く方法です。そのためには先に、∠AOB 二等辺三角形の頂角となるように半円(緑色の線)を描いてから、角を二等分することを考えます。
 二等辺三角形のそれぞれの角は、同じ角度になるふたつの角を底角といい、残りの角を頂角といいます(頂角は、同じ長さの辺を両側にもつ角のことになります)
半円(半円 (1) とします)の大きさは特に決まっていません。今回はとりあえず、点 P, Q を通る半円としました。
⟴ この点 P, Q は太陽が午前と午後に 1 回ずつ柱に作った、同じ長さの影ですので、点 P, Q を結んだ方向は、東西の向きと一致します。その東西線の垂直二等分線が角 ∠POQ の二等分線になっているのです。
⏀ 結果として同じ長さをもつ影同士の、角度の二等分線が、南北を指すことになるわけです。

 角の二等分線・デモ OFF / ON
 角の二等分線の作図方法〔 ※ 段落の最初に丸 ◯ に見えるのはデモ ON のボタンで、クリックすると ◉ になります。〕
 まずは、グラフの原点みたいな点 O を中心にして、半円を描きます。半円といっても線 AO, BO の両方と交差すればよいので実際は円の一部というような意味になります ―― 弧といいます ―― が、ここではとりあえず半円 (1) と表現しておきましょう。
 このとき点 P, Q は同じ円周上の点ですから点 O との距離は等しく、点 O, P, Q 二等辺三角形になります。
 次に、点 P を中心として、PQ の長さの半分より大きな半径をもつ半円 (2) を描きます。そして点 Q からも、半円 (2) と同じ半径の半円 (3) を描くと、その半円同士の交点が 2 つできます。
 その交点のうち、どちらでも ―― たいていは、点 O から遠いほうが選ばれますが ―― 点 C として、線 CO を引いたら、それが二等辺三角形 △OPQ頂角 ∠POQ を二等分する線になっているわけです。


 さてさて、そういうわけで。
 簡単な日時計の作り方の最終工程には、〈天の北極〉を指す棒のために、北極の方向を求める作業があって、それは、東西方向と直角な線を引けば出てくるというわけなのです。そしてそれは物理法則の習性を知れば、わかる仕掛けとなっているのです。

Japanese standard time

日本標準時(日本時間)は東経 135 度の子午線を太陽(平均太陽)が通過する時刻を 12 時とします。
太陽が、観測地の子午線上を通過するとき、太陽が〈南中〉するといいます。
これは太陽がもっとも真上に来た状態なのですが、太陽の高度はこの時最大となり、〈正午〉をさします。また南中の前後で、太陽の軌跡(位置)は対称的な図形を描きます。

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