〈フェルマーの原理〉の意味するところです。
光が媒質内で速さを変えても屈折しなければ、到達する時間が長くなるのは、少し計算すれば理解できますけれど、到達時間を最短にする、最適な屈折角は〈スネルの法則〉によることも、計算で確認できるのです。
光の到達時間のグラフを描いて、その曲線の接線の傾きがゼロになる瞬間が、最短の時間になるわけで、まずは、その微分計算をクリアする手法が必要となります。
この微分計算には、先に「双曲線と《光の入射角・反射角》」(2020年5月23日土曜日)で紹介した《合成関数の微分に関する定理》が用いられます。
そして《分数乗の微分》の公式で、変数の平方根が含まれる関数を微分します。
何はともあれ、《合成関数の微分に関する定理》の復習から、始めましょう。
● u = g (x) に関して、x の増分 Δx に対する u の増分を Δu とします。
● y = f (u) に関して、u の増分 Δu に対する y の増分を Δy とします。
● y = f (u) = f ( g (x) ) が成り立って、
dy | = | d | f ( g (x) ) = f ´( g (x) ) g ´(x) |
dx | dx |
= f ´(u) g ´(x) = | dy | ∙ | du |
du | dx |
⛞ 平方根は、2 分の 1 乗なので、分数乗の微分の公式を使います。
● √ u = u 1 ∕ 2
(√ u )´ = | 1 | (u - 1 ∕ 2 ) = | 1 | ∙ | 1 | = | 1 |
2 | 2 | u 1 ∕ 2 | 2 √ u |
◈ 光の速度は、空気中で V 、水中で v とします。
▸ 空気中の点 P から水面の点 R までの距離
● PR = √ x 2 + h 2
▸ 水面の点 R から水中の点 Q までの距離● RQ = √ (w - x ) 2 + y 2
▸ 空気中の点 P から水中の点 Q に到達するまでの時間t = | √ x 2 + h 2 | + | √ (w - x ) 2 + y 2 |
V | v |
dt ∕ dx = 0
であることが、各種参考書に述べられているので、 x で微分します。※ さきほど分数乗の微分で、次の式が成り立つことを確認しました。
(√ u )´ = | 1 |
2 √ u |
► まず、
f (u) = | √ u |
V |
g (x) = u = x 2 + h 2
として、f ´(u) g´(x) = | 1 | ∙ | 1 | ∙ 2 x |
V | 2 √ x 2 + h 2 |
= | x | |
V √ x 2 + h 2 |
f (u) = | √ u |
v |
g (x) = u = (w - x ) 2 + y 2
= w 2 - 2 w x + x 2 + y 2
として、= w 2 - 2 w x + x 2 + y 2
◍ g´(x) = u´ = 2 x - 2 w = 2 (x - w)
= - 2 (w - x)
であるから、= - 2 (w - x)
f ´(u) g´(x) = | 1 | ∙ | - 2 (w - x) |
v | 2 √ (w - x ) 2 + y 2 |
= | - (w - x) | |
v √ (w - x ) 2 + y 2 |
t ´ = | x | - | w - x | = 0 |
V √ x 2 + h 2 | v √ (w - x ) 2 + y 2 |
∴ | x | = | w - x |
V √ x 2 + h 2 | v √ (w - x ) 2 + y 2 |
1 | = | n1 | , | 1 | = | n2 |
V | c | v | c |
sinθ1 = | x |
√ x 2 + h 2 |
sinθ2 = | (w - x) |
√ (w - x ) 2 + y 2 |
n1 | sinθ1 = | n2 | sinθ2 |
c | c |
∴ n1 sinθ1 = n2 sinθ2
が成り立って、光が最短時間で到達する経路は〈スネルの法則〉に等しいことが確認できるわけです。 ⛞ 屈折率と光の到達時間の計算 ⛞
(計算値の理解が簡単になるようにした非現実的な設定ですが)媒質 1 と媒質 2 の境界の光の通過点: R (150 km) + km
◎ 光が通過する距離と時間の計算 ◎
媒質 1 | 250 km | ms |
媒質 2 | 250 km | ms |
500 km | ms |
〔※ 理解のために便宜的に接線を描線したものの、強調された傾きの角度は正確なものではありません。〕
1 ∙ sinθ0 =
n1 ∙ sinθ1 =
n2 ∙ sinθ2 =
✥ 水中から真空に光が入射するときには、入射角が約 48.6 度で、屈折角はほぼ水平となります。(参考) 真空への屈折角: θ0 = °
媒質 1 の入射角: θ1 = °
媒質 2 の屈折角: θ2 = °
R +
n1 ∙ sinθ1 = 0.9705201
n2 ∙ sinθ2 = 0.9705201
今回も同様に JavaScript によるプログラムを、このページ内に同梱しています。
―― また微分計算の方法についての参考書・その他の資料なども参照しつつ、JavaScript の見本をテキスト化して掲載したページを、以下のサイトで公開しています。
光の屈折・フェルマーの原理
http://theendoftakechan.web.fc2.com/eII/hitsuge/integral/Fermat.html
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