JavaScript を使って Canvas に図形を描く演習問題として、ヒポクラテスの月は、格好のテーマのひとつでしょう。これは、直角三角形の 3 辺のそれぞれを直径にした、3 個の半円を描けばよいのです。
◎ 上の図は、描きやすさを第一と考えて、複雑な計算のあまり必要のなさそうな、30° と 60° の角をもつ直角三角形を使って、それぞれの辺に円を描いてみました。
⟲ それを反時計回りに 150° 回転させてから、半円にしたものに、
着色したのが、下の図 ☟ となります。
◉ ヒポクラテスの定理:
上の図で、黄色の三日月形を足した面積と、直角三角形の面積は等しい。
※ 図の、⊿ABC は、∠C を直角とする直角三角形で、AB を直径とする円に内接している。
◎ ヒポクラテスの三日月の詳しい説明:
▸ ∠C が直角である ⊿ABC の外側に、辺 BC を直径とする半円と、辺 CA を直径とする半円を描く。▸ これらの半円から、⊿ABC の外接円に含まれる部分を除いて得られる月形の図形を、それぞれ moon1, moon2 とし、moon1, moon2 の面積の和と、⊿ABC の面積を比較する。
◈ それぞれの半円の面積の関係:
各辺の記号を次の通りとする。BC = a, CA = b, AB = c
a を直径とする半円の面積を α、
b を直径とする半円の面積を β、
c を直径とする半円の面積を γ とすると、
円の面積 = πr2 であるから、これを仮に 直径 = a で表せば、
円の面積 = π × a2 ÷ 22 となり、したがってそれぞれの半円の面積は、
α = πa2 / 8
β = πb2 / 8
γ = πc2 / 8
となって、ピタゴラスの定理より、
∴ α + β = π (a2 + b2) / 8 = πc2 / 8 = γ
◈ ヒポクラテスの定理の証明:
上と同様に、それぞれの半円の面積を α, β, γ とし、
moon1 の面積 = s1
moon2 の面積 = s2
⊿ABC の面積 = s3
とすると、AB は ⊿ABC の外接円の直径だから、
s1 + s2 = (α + β) - (γ - s3)
さらに、上記(それぞれの半円の面積の関係)より、
α + β = γ
∴ s1 + s2 = s3
◉ ヒポクラテスの月:
月形 s1, s2 は、歴史上最初に作図された「直線に囲まれた図形」に面積が等しい「曲線に囲まれた図形」である、といわれている。〔参考文献:大田春外『高校と大学をむすぶ幾何学』2010年09月15日 日本評論社/発行 (p. 7, p.180) 〕
Google サイト で、本日、「歳差運動」と「暦」についてのページを公開しました。
古代の《暦》 ―― こよみ ――
https://sites.google.com/view/hitsuge/arcus/koyomi
―― その内容に、〈ヒポクラテスの定理〉についての説明を合わせたページを、以下のサイトで公開しています。
古代の《暦》 ―― こよみ ――
http://theendoftakechan.web.fc2.com/eII/hitsuge/koyomi.html
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