2019年6月24日月曜日

ヒポクラテスの月

ヒポクラテスの月というのは、半円内部に描かれた〝直角三角形〟と〝半円(三日月)〟の面積に関する問題です。

 JavaScript を使って Canvas に図形を描く演習問題として、ヒポクラテスの月は、格好のテーマのひとつでしょう。これは、直角三角形の 3 辺のそれぞれを直径にした、3 個の半円を描けばよいのです。




 ◎ 上の図は、描きやすさを第一と考えて、複雑な計算のあまり必要のなさそうな、30° 60° の角をもつ直角三角形を使って、それぞれの辺に円を描いてみました。

 ⟲ それを反時計回りに 150° 回転させてから、半円にしたものに、
着色したのが、下の図 ☟ となります。




◉ ヒポクラテスの定理:


上の図で、黄色の三日月形を足した面積と、直角三角形の面積は等しい。
※ 図の、⊿ABC は、∠C を直角とする直角三角形で、AB を直径とする円に内接している。


◎ ヒポクラテスの三日月の詳しい説明:

 ▸ ∠C が直角である ⊿ABC の外側に、辺 BC を直径とする半円と、辺 CA を直径とする半円を描く。
 ▸ これらの半円から、⊿ABC の外接円に含まれる部分を除いて得られる月形の図形を、それぞれ moon1, moon2 とし、moon1, moon2 の面積の和と、⊿ABC の面積を比較する。


◈ それぞれの半円の面積の関係:

 各辺の記号を次の通りとする。BC = a, CA = b, AB = c
 a を直径とする半円の面積を α
 b を直径とする半円の面積を β
 c を直径とする半円の面積を γ とすると、
円の面積 πr2 であるから、これを仮に 直径 a で表せば、
円の面積 π × a2 ÷ 22 となり、したがってそれぞれの半円の面積は、

 α = πa2 / 8
 β = πb2 / 8
 γ = πc2 / 8

となって、ピタゴラスの定理より、

 ∴ αβ = π (a2b2) / 8 = πc2 / 8 = γ


◈ ヒポクラテスの定理の証明:


 上と同様に、それぞれの半円の面積を α, β, γ とし、

  moon1 の面積 = s1
  moon2 の面積 = s2
  ⊿ABC の面積 = s3

 とすると、AB⊿ABC の外接円の直径だから、

   s1 + s2 = (αβ) - (γ - s3)

 さらに、上記(それぞれの半円の面積の関係)より、

   αβ = γ

 ∴ s1 + s2 = s3


 ◉ ヒポクラテスの月:

月形 s1, s2 は、歴史上最初に作図された「直線に囲まれた図形」に面積が等しい「曲線に囲まれた図形」である、といわれている。
〔参考文献:大田春外『高校と大学をむすぶ幾何学』2010年09月15日 日本評論社/発行 (p. 7, p.180)


Google サイト で、本日、「歳差運動」と「暦」についてのページを公開しました。

古代の《暦》 ―― こよみ ――
https://sites.google.com/view/hitsuge/arcus/koyomi

―― その内容に、〈ヒポクラテスの定理〉についての説明を合わせたページを、以下のサイトで公開しています。

古代の《暦》 ―― こよみ ――
http://theendoftakechan.web.fc2.com/eII/hitsuge/koyomi.html

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