「鶏鳴(けいめい)」という言葉の意味を『広辞苑』で見ると、
① 鶏の鳴くこと。鶏の鳴き声。
②(一番どりの鳴く頃であるからいう)丑(ウシ)の時、すなわち今の午前二時頃。
③ 明けがた。夜明け。
とあります。ようするに鶏が鳴けば朝が来て、一日が始まる、という、古い時代からの日常基本の概念がここに網羅されているわけです。
丑の刻は〈午前 1 時〉から〈午前 3 時〉までで、平安時代の頃は、丑の次の、寅(トラ)の刻から一日が始まったようです。
今回のタイトルの〝常世の長鳴鳥〟というのは、「天の石屋戸」事件の際に、八百万の神が行った〝日神招喚の儀式〟のため集められた〝鳥〟のことで、これは〝鶏〟であると一般的に解釈されています。
いまも伊勢神宮では、遷宮の際は「鶏鳴三声」を合図に、遷御の儀が行われるそうです。
〝常世〟は、終らない世界を表現したもので、中国の神話伝説では、不死の仙人が住む〝蓬莱山(ほうらいさん)〟が、該当するでしょう。ちなみに中国の仙人は不死ではあっても、多くはどうやら不老ではないように思われます。
中国の史書の記述には、秦の始皇帝が〝蓬莱山〟にあるという秘薬を求めて「徐福(じょふく)」〔史記に「徐市(じょふつ)」とも〕を派遣したとあり、また漢の武帝はリアルに不死の秘薬を得るため、神仙の術すなわち方術を使う方士を海上に派遣したようです。
日本の伝説にも〔古事記と日本書紀で表現された文字は多少違いますけれど〕、
垂仁天皇の時代に、
古事記では〝常世国(とこよのくに)〟にある「登岐士玖能迦玖能木実(ときじくのかくのこのみ)」を求めるため、「多遅摩毛理(たぢまもり)」を派遣し、
日本書紀では同じく〝常世国(とこよのくに)〟にある「非時香菓(ときじくのかくのみ)」を求めるため、「田道間守(たぢまもり)」を派遣しています。
―― 徐福伝説を除く各種資料を参照したページを、以下のサイトで公開しています。
http://theendoftakechan.web.fc2.com/eII/hitsuge/tokoyo.html
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