〈ヒッピアスの円積曲線〉なるものを紹介して以来の、その続きの話となります。
紀元前 3 世紀の頃に生きていたというアルキメデスは、円周率をかなり正確に計算していましたが、じつはその計算過程をこのページ上で再現しようとして、うまい方法を思いつけぬままに数ヶ月が経過してしまいました。
実際にとりかかってみると、そもそもがけっこう複雑な方法なので、
説明文を節約しようとしても、かなりの無理が避けられないというわけで、
その結果、この文末でもリンクしているページ「多角形と円周率の話」の
〈アルキメデスの円周率の計算〉
http://theendoftakechan.web.fc2.com/eII/hitsuge/arcus/polygon.html#archimedes
を参照していただくことといたします。
アルキメデスが書き残したとされる円周率計算解説〈円の計測〉の日本語訳文は、
『世界の名著 9』 ギリシアの科学〔昭和47年02月10日 中央公論社/発行〕所収の、
三田博雄訳「アルキメデスの科学」で、確認することができます。
今回ここでは、その円周率の計算に必要となってくる、
《円に内接もしくは外接する多角形》の「辺の長さの合計計算」を少しばかり、
作図して、計算してみましょう。
多角形と円周率の計算概要作図
◈ 多角形の辺の長さを円周〔率〕に近似させる ◈
✥ 円周率は、円周の長さとその直径との比であり、また円の面積と半径の平方との比率でもあります。
正方形に内接する円の直径は正方形の 1 辺の長さと同じなので、円周率というのは、多少表現を変えて説明すると、正方形の 4 辺の長さの合計を 4 としたときの、内接円の円周の値になります。
円の半径が r = 1 の円周の値と、それに外接・内接する正多角形の辺の長さを比較してみましょう。
円に外接する正 n 角形も、内接する正 n 角形も、辺の長さの合計はどちらも、n の数が多くなるにしたがって、円周率の 2 倍の値となる円周の数値に近づいていきます。
✥ 円の半径が r = 1 の円周は [ 2π = 6.28 ]
⛞
= √ 2
▸ ×
=
=
2
▸ ×
=
=
✥ 辺の長さの計算方法について。
また、円に内接する正三角形と、外接する正三角形の辺の長さの比は、円に内接する正三角形にさらに内接する円の半径 py と、もとの円の半径 r との比に等しいので、円に外接する正三角形の 1 辺の長さの半分を、仮に qx とするならば、
qx : px = r : py [ qx ∕ px = r ∕ py ]
qx = px × r ∕ py [ r = 1 ]
∴ qx = px ∕ py
► 図からわかるように、π ∕ 12 の角度をもつ直角三角形を想定したとき、円に内接する正 12 角形のひとつの辺の長さは、
► 図では少しわかりにくいのですが、円に外接する正 12 角形の辺はそれぞれ、円の接線の一部となっているので、辺の中点において円と接していて、その接点と円の中心を結ぶ線分は、当然のことながら、円の半径に一致します。そして円の中心を通ってその接点に向かう直線と、接線とは直角に交差しているので、そこに直角三角形が想定できて、その直角三角形の 1 辺が半径 r〔の長さ〕と一致することになります。
その直角三角形の斜辺を z と仮定して計算すれば、
z * Math.cos(Math.PI/12) = r
∴ z = r ∕ Math.cos(Math.PI/12)
―― 昨年 9 月の前回分と合わせ、コピペしてそのまま使える、JavaScript の見本をテキスト化して掲載したページを、すでに説明したところの、以下のサイトで公開しています。
多角形と円周率の話
http://theendoftakechan.web.fc2.com/eII/hitsuge/arcus/polygon.html
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