このたびは、昨年「
円積曲線(円積線)の作図と操作」(2019年9月29日日曜日)で、
〈ヒッピアスの円積曲線〉なるものを紹介して以来の、その続きの話となります。
紀元前 3 世紀の頃に生きていたというアルキメデスは、円周率をかなり正確に計算していましたが、じつはその計算過程をこのページ上で再現しようとして、うまい方法を思いつけぬままに数ヶ月が経過してしまいました。
実際にとりかかってみると、そもそもがけっこう複雑な方法なので、
説明文を節約しようとしても、かなりの無理が避けられないというわけで、
その結果、この文末でもリンクしているページ「
多角形と円周率の話」の
〈アルキメデスの円周率の計算〉
http://theendoftakechan.web.fc2.com/eII/hitsuge/arcus/polygon.html#archimedes
を参照していただくことといたします。
アルキメデスが書き残したとされる円周率計算解説〈円の計測〉の日本語訳文は、
『世界の名著 9』 ギリシアの科学〔昭和47年02月10日 中央公論社/発行〕所収の、
三田博雄訳「アルキメデスの科学」で、確認することができます。
今回ここでは、その円周率の計算に必要となってくる、
《円に内接もしくは外接する多角形》の「辺の長さの合計計算」を少しばかり、
作図して、計算してみましょう。
多角形と円周率の計算概要作図
◈ 多角形の辺の長さを円周〔率〕に近似させる ◈
✥ 円周率は、円周の長さとその直径との比であり、また円の面積と半径の平方との比率でもあります。
正方形に内接する円の直径は正方形の 1 辺の長さと同じなので、円周率というのは、多少表現を変えて説明すると、正方形の 4 辺の長さの合計を 4 としたときの、内接円の円周の値になります。
円の半径が r = 1 の円周の値と、それに外接・内接する正多角形の辺の長さを比較してみましょう。
円に外接する正 n 角形も、内接する正 n 角形も、辺の長さの合計はどちらも、n の数が多くなるにしたがって、円周率の 2 倍の値となる円周の数値に近づいていきます。
✥ 円の半径が
r = 1 の円周は
[ 2π = 6.28 ]
⛞
● 円に内接する多角形の
1 辺の長さ
= √ 2
多角形の辺の長さの合計
▸ ×
=
● 円に外接する多角形の
1 辺の長さ
2
多角形の辺の長さの合計
▸ ×
=
✥ 辺の長さの計算方法について。
⛞
正三角形
▶ 図示したように、円に内接する正三角形の頂点の座標のひとつを
P (px, py) としたとき、内接する正三角形の
1 辺の長さは
px の値の
2 倍になります。
また、円に内接する正三角形と、外接する正三角形の辺の長さの比は、円に内接する正三角形にさらに内接する円の半径
py と、もとの円の半径
r との比に等しいので、円に外接する正三角形の
1 辺の長さの半分を、仮に
qx とするならば、
qx : px = r : py [ qx ∕ px = r ∕ py ]
qx = px × r ∕ py [ r = 1 ]
∴ qx = px ∕ py
となって、外接する正三角形の
1 辺の長さは、
2 × px ∕ py と算出されるわけです。
⛞
正方形(正四角形)
▶ 説明は、省略します。
⛞
正六角形 (
正六角形の辺の長さの計算のもう少し詳しい説明箇所へのリンク)
▶
リンクしたページで、アルキメデスの〈円の計測〉の解説に基づいて、説明しています。
⛞
正十二角形
▶ 正
12 角形のひとつの辺を挟む中心からの角度は、
360 (°) ∕ 12 = 30 (°) = π ∕ 6 (rad) なので、そのさらに半分は
π ∕ 12 となります。
► 図からわかるように、
π ∕ 12 の角度をもつ直角三角形を想定したとき、円に内接する正
12 角形のひとつの辺の長さは、
[ r * Math.sin(Math.PI/12) * 2 ] で計算することができます。
► 図では少しわかりにくいのですが、円に外接する正
12 角形の辺はそれぞれ、円の接線の一部となっているので、辺の中点において円と接していて、その接点と円の中心を結ぶ線分は、当然のことながら、円の半径に一致します。そして円の中心を通ってその接点に向かう直線と、接線とは直角に交差しているので、そこに直角三角形が想定できて、その直角三角形の
1 辺が半径
r〔の長さ〕と一致することになります。
その直角三角形の斜辺を
z と仮定して計算すれば、
z * Math.cos(Math.PI/12) = r
∴ z = r ∕ Math.cos(Math.PI/12)
となるので、外接する正
12 角形のひとつの辺の長さは
[ 2 * z * Math.sin(Math.PI/12) ] と、なるわけです。
◆
JavaScript での書式(具体的な書き方)などは、リンクしたページで、実際のスクリプトを参照してみてください。
―― 昨年 9 月の前回分と合わせ、コピペしてそのまま使える、JavaScript の見本をテキスト化して掲載したページを、すでに説明したところの、以下のサイトで公開しています。
多角形と円周率の話
http://theendoftakechan.web.fc2.com/eII/hitsuge/arcus/polygon.html